1万7000円を超えた「有事の金」は天井か? 金に代わる2025年の注目貴金属の「プラチナ」を、毎日の日足を分析する専門家が徹底解説!
株式相場が下落するとき、反比例して上昇するのが貴金属をはじめとしたオルタナティブ資産です。代表格は「有事の金」と呼ばれる金ですが、ここ数年間上昇を続けた金には少しずつ、天井が見え始めていると感じられるようにもなってきました。
金の次に何が来るのか。最近とりわけ存在感を高めているのが白金ことプラチナです。金と比較して、プラチナはどのような特徴があるのでしょうか。1年半にわたって、日足を分析する専門家が解説します。
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金は「天井」が見えてきた?
図表1は2025年における金の最新のチャートです。1グラムのインゴット(金塊)を単位としています。年明けからの半年で約1万4500円から1万7500円台と、120%の伸びを見せています。これほどの上昇率は個別株や投資信託とチャートではほとんど見かけません。
図表1
バリュエンスホールディングス株式会社 ブランド買取専門店 なんぼや 今日の金1gあたりの買取相場価格と専門家コメント
ただ、このチャートで興味深いのは、2025年4月からの「関税狂騒曲」のなかでも、あまり上昇せず、横ばいトレンドとなっていることです。また関税と同時にトランプ大統領が強行を試みる中央銀行の利下げについても、金の日足は強い反応を見せません。
具体的に見ていきましょう。7月17日(木)にトランプ大統領は、中央銀行であるFRBのパウエル議長を解任させるという報道が流れます。金の日足は利下げへの期待で大きく上がるかと思われましたが、18円の下落に留まりました。翌18日(金)も23円の上昇に留まっています。
前提として金は政策金利だけで動くものではありません。またFRBの議長解任に対しても、利下げを金の上昇要因と見る向きもあれば、世界経済の不安要素として下落と見る勢力もあります。
とはいえ、これまで大きく反応していた有事と定義されるようなタイミングで、金が大きく動かなくなる兆候が、少しずつ見えてきた、という仮説を立てることもできます。
金の代わりに「有事のプラチナ」の時代が来るか
そこで注目したいのが、白金ことプラチナです。筆者は某買取業者において、2024年春から1年半にわたってプラチナの日足・週足・月足を分析しています。
図表2
バリュエンスホールディングス株式会社 ブランド買取専門店 なんぼや プラチナ|今日の1gあたりの買取相場価格と専門家コメント
プラチナは、資産運用の観点から見ると貴金属、更に広義ではオルタナティブ資産に該当します。これまでは知名度が低いことも手伝い、「金と同じ動きをするもの」と評価されてきました。
しかし、プラチナは関税の動きとともに、短期間で大きく上昇しています。これは明らかに金とは異なる動きです。
2025年に入り、そのプラチナが独自色を出しはじめています。図表2によると前項に記した「金が動かなかった」7月17日にプラチナの日足は223円の上昇、翌18日には285円の大幅上昇を記録しています。
背景として、プラチナは金と比較し、半導体やハイテク株などの産業とより関係の深い性質があります。現在のインデックス投信を構成しているハイテク株のマグ7(マグニ・フィセントセブン)が好決算を迎えた際など、プラチナの日足も反応してきました。
プラチナが8000円台に到達するあたりがポイントか
これからのプラチナはどうなるのでしょうか。筆者はここ1年半の分析から、天井感を見せる金に代わり、「有事のプラチナ」としての存在感が増すと考えています。
実際に、上記の急騰をした7月中旬にプラチナのインゴットは7597円に到達しました。これは21世紀がスタートしてからの過去25年において、リーマンショック最中の2008年2月以来の最高値です。
今後プラチナが上昇し、インゴット8000円台を超えることになれば、より「有事のプラチナ」と評価する投資家も増えてくることでしょう。
とはいえ、7月下旬からプラチナは下落が続いています。関税施策をめぐるトランプ政権の姿勢に「猶予」や「先送り」という言葉が並んでも、下落する日足も多くなりました。プラチナ自体にも過熱感が認められているのでしょうか。有事のプラチナとなるには、時期尚早だと判断する声がまだ多い段階と分析することもできます。
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まとめ
生成AI時代の主役ともいえるNVIDIA社が時価総額で世界一となったように、今後もプラチナを後押しする動きは活発化していくと予想されます。マグ7以外にも、自動車や水素といった領域においても、プラチナへの影響があります。特に自動車において「自動運転の世の中」が到来した暁には、プラチナにも大きな影響があると考えられます。
金に比べて知名度の劣るプラチナですが、今後の主役は少しずつ、芽を出しはじめているのかもしれません。
出典
バリュエンスホールディングス株式会社 ブランド買取専門店 なんぼや 今日の金1gあたりの買取相場価格と専門家コメント
バリュエンスホールディングス株式会社 ブランド買取専門店 なんぼや プラチナ|今日の1gあたりの買取相場価格と専門家コメント
執筆者 : 工藤崇
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