日経平均株価が一時「4万4000円」突破し“史上最高値”更新! トランプ関税や日銀の利上げを乗り越え、年末ラリーでさらなる「株高」を目指せる?

配信日: 2025.09.09
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日経平均株価が一時「4万4000円」突破し“史上最高値”更新! トランプ関税や日銀の利上げを乗り越え、年末ラリーでさらなる「株高」を目指せる?
2025年8月18日、日経平均株価は4万3714円と史上最高値を更新、その後、9月8日には一時4万3800円台まで上昇、9月9日には一時4万4000円台を突破しました。
 
日経平均株価は、年初には「トランプラリー」の期待感から4万円に迫る水準まで上昇したものの、その後は追加関税をめぐる発言や米中摩擦の激化で急落を繰り返すなど、相場は大きく揺れ動きました。
 
しかし、米国と中国が最終的に関税引き下げで合意し、さらに日米間の交渉も妥結したことで市場に安心感が広がり、海外投資家の資金が再び日本株に流入。
 
日経平均は乱高下を経ながらも力強い上昇トレンドに戻り、さらなる株高を目指せるのか解説します。
末友浩基

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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日経平均株価は年明けから波乱の値動き

図表1は、2025年8月25日までの日経平均株価のチャートです。
 
今年の株式市場は、トランプ大統領の政策への期待感から日経平均株価が4万円に迫る高値で幕を開けました。年初は、いわゆる「トランプラリー」の恩恵を受ける銘柄が積極的に買われる展開でした。
 
図表1

図表1

株式会社日本経済新聞社 日経電子版 日経平均株価 指数 スマートチャートプラス
 
しかし、大統領の就任後は状況が一変します。「トランプ関税」をめぐる発言が市場を揺さぶるようになります。2月以降、メキシコや中国など特定国への関税や、鉄鋼・アルミニウムへの追加関税に言及するたびに世界経済への悪影響が懸念され、東京市場も何度も急落しました。
 
市場の不安が頂点に達したのが4月2日です。トランプ大統領が世界各国を対象とする「相互関税」を発表し、中国が即座に報復措置をとったことで、米中貿易摩擦への警戒感は一気に高まり、世界中の株価が下落する世界同時株安となりました。
 
特に4月7日の日経平均株価は、史上3番目の下げ幅となる2644円安を記録し、3万1000円台まで値を下げました。
 
ところが、アメリカ市場で株、ドル、債券がすべて売られる「トリプル安」に見舞われると、トランプ大統領はこれまでの強硬姿勢から一転し、相互関税の一時停止を発表します。
 
これを機に潮目が変わりました。100%を超える高関税をかけ合っていた米中が、関税引き下げで合意すると、投資家の間に安心感が広がります。「トランプ大統領は強硬な姿勢を見せても、最終的には交渉で柔軟に対応する」という楽観的な見方が市場の支えとなり、海外投資家を中心に日本株への買いが活発化しました。
 
そして7月23日、最大の懸案だった日米間の関税交渉が合意に至ります。当初、合意内容が大統領令に反映されていないという懸念がありましたが、アメリカ側が修正の意向を示したことで好感され、株価はさらに上昇。
 
日経平均株価は、8月に4万3000円を突破し史上最高値を更新しました。9月に入っても4万3000円台で推移し、9月9日には一時、4万4000円台まで上昇しています。
 

日経平均株価の今後の見通し

年末にかけてのポジティブな要素

急騰したとはいえ、株価の割安度を示すPBR(株価純資産倍率)は、1.5倍前後にとどまっています。これは、1989年のバブル期の約5.6倍に比べれば依然として低く、また、米国市場の平均水準を下回っています。
 
つまり、海外から見れば日本株はまだ「安い」と評価されており、資金流入が継続する土台が整っているといえます。投資家の期待が一過性に終わらず、構造的なリバランスの流れに発展する可能性もあります。
 
また、半導体関連株は、足元で停滞が目立っています。米国による輸入半導体への関税強化が懸念され、投資マネーが様子見に回っているためです。
 
しかし、このリスクが和らげば、再び成長期待が強まり、日経平均が5万円、さらには6万円を目指す可能性もあります。AI需要やEV市場の拡大を考えれば、半導体は依然として長期的な成長分野であることに変わりはありません。
 

年末にかけてのリスク要因

ただし、今の力強い株価の上昇には注意すべき点も多くあります。1つ目は、「急上昇の反動」です。夏場に一気に株価が高値を更新したため、短期的なお金の動きが逆流すれば、大きな下げにつながる可能性があります。
 
特に海外投資家は短期間で利益を確定する動きが速く、買いが一転して売りに変わると市場全体が大きく揺さぶられることになります。これは、過去の相場でも何度も見られた典型的な展開です。
 
2つ目のリスクは、「アメリカの貿易政策」です。トランプ政権が進める関税強化策は、日本企業にとって避けられない不安要因です。
 
特に半導体や自動車など輸出に依存する産業は、関税の影響を受けやすく、企業の利益を直撃します。米国市場に大きく依存している日本企業が多いため、もし追加関税が導入されれば、株価の上値を抑える要因となるのは間違いありません。
 
3つ目は、「日銀の金融政策」です。これまで緩やかな利上げを続けてきた日銀ですが、物価上昇や為替の動きをにらんで、さらに追加で利上げを行う可能性も指摘されています。
 
金利が上がれば企業の資金調達コストが高くなり、設備投資や株主還元に回せる余力が減ってしまいます。加えて、国債などの金利商品が魅力を増せば、株式市場から資金が流出する懸念もあります。株価にとっては確実に逆風となり得るのです。
 
これらの要因はそれぞれ独立した問題のように見えますが、同時に起きれば市場に与える衝撃は非常に大きくなります。例えば、米国で関税が強化されるのと同じタイミングで日銀が利上げに踏み切れば、輸出企業は二重の打撃を受け、投資家心理が一気に冷え込む可能性があります。
 
逆に、こうしたリスクが表面化せずに落ち着いて推移すれば、日本株は割安感や企業の成長力を背景に堅調に推移する余地も十分にあります。つまり、年末にかけての相場は「政策と国際環境に大きく左右される」ということです。
 

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まとめ

日経平均株価が史上最高値を更新し、次なる目標である5万円を目指しています。「トランプ関税」という外部からの政治リスクと、「日銀の利上げ」という国内の金融政策の転換は、株価の上昇を抑制しかねない大きな不透明要因です。
 
しかし、日本企業の構造改革や好調な業績といったファンダメンタルズは、依然として強固です。これらの強みがリスク要因を乗り越える力となれば、多くの投資家が期待する「年末ラリー」の実現も決して夢物語ではないかもしれません。
 

出典

株式会社日本経済新聞社 日経電子版 日経平均株価 指数 スマートチャートプラス
 
執筆者 : 末友浩基
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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