退職金の800万円を「全投資」した旦那。「いまは利回り3%だから」と言っていますが、うまくいけば10年でいくらくらい増えるのでしょうか?
この記事では、実際の複利計算を使って、10年後にどの程度の増加が見込まれるかシミュレーションします。また、投資に潜む注意点や制度の活用方法についても解説します。
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目次
投資シミュレーションの前提
今回の試算では、「元本800万円、利回り年3%、投資期間10年」を前提として複利を計算します。複利とは、「得られた利息を元本に組み込み、さらに利息を生む仕組み」のことで、単利よりも資産が大きく増える効果があります。
実際のシミュレーションでは、証券会社が提供するツールなどを使うと便利です。ただし、手数料や税金は加味されていないため、あくまで目安として考える必要があります。
利回り3%で運用した場合の結果
複利計算の式は「元本 × (1+年利率)^年数」です。今回の条件に当てはめると、800万円 × (1.03)^10≒1075万円 となります。
つまり、10年間でおよそ275万円の増加となり、安定的に資産を増やす手段としては十分に魅力的です。特に銀行預金の利率が低い現状を考えると、3%の利回りは堅実かつ現実的な水準といえます。
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他の利回りと比較するとどうなる?
投資の世界では想定通りに進まないことも多くあります。そこで、利回りが変動した場合の資産額を比較してみましょう。
・1%の利回りで10年間投資した場合… 約884万円
・5%の利回りで10年間投資した場合…約1303万円
・7%の利回りで10年間投資した場合…約1574万円
一見すると数%の差ですが、10年というスパンで積み上げると数百万円の違いとなります。利回り3%は比較的堅実な水準として位置づけられますが、過去の市場環境を踏まえれば上下の振れ幅も十分考慮するべきです。
税金・手数料・インフレなどの注意点
ここまでの計算は「税引前・手数料除外」を条件とした単純なものです。現実の運用では、投資信託の信託報酬や売買手数料をはじめ、利息や配当への約20%課税を考慮する必要があります。
ただし、NISA制度には非課税枠があるため、効率的に資産形成を進められる点は見逃せません。また、インフレによる資産価値の目減りも重要です。例えば、インフレ率が3%なら、10年後に100万円の価値は実質74万円程度になるという試算もあります。
退職金を増やすためには、数字の裏にあるリスクや仕組みをきちんと理解して、計画的に判断することが大切です。
利回り3%を得る投資先とは
現実的に「年3%」を目指す投資先には何があるでしょうか。代表的なものは、国債や社債といった債券、株式と債券をバランスよく組み合わせた投資信託などです。株式や不動産投資信託(REIT)を取り入れれば利回り5%以上も期待できますが、相場変動のリスクが高まります。
投資信託の平均利回りは3〜10%程度とされており、3%は比較的堅実な数字です。退職金の性質を考えると、一括投資よりも分散投資や積立方式を取り入れるほうが安心できるでしょう。
インフレ対策・免税制度の活用
長期的な資産形成では、インフレに強い資産を持つことも大切です。株式や不動産、金などはインフレ局面でも資産価値を保ちやすいとされます。
また、新NISA制度を使えば、配当や譲渡益にかかる税金を免除でき、実質的な利回りを高める効果が期待できます。こうした制度を上手に組み合わせることで、3%という目標利回りをより確実に実現できるでしょう。
シミュレーションはあくまで目安
退職金800万円を利回り3%で10年間運用すると、複利効果により約1075万円まで増える試算となりました。銀行預金と比べれば明らかな差があり、資産を長期的に増やす可能性が見えてきます。
ただし、税金や手数料、インフレの影響を考慮すれば、単純に計算通りには進みません。利回りが変動すれば資産額は数百万円単位の違いが出るため、堅実な運用を目指すには分散投資や制度の活用を検討する必要があります。退職金を増やすためには、数字の裏にあるリスクや仕組みを理解し、計画的に判断する姿勢が重要です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
