老後資金「2000万円」を用意したいです。50歳からでも「iDeCo・NISA」を併用すれば可能ですか?“積立額・運用益”をシミュレーション

配信日: 2025.09.29
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老後資金「2000万円」を用意したいです。50歳からでも「iDeCo・NISA」を併用すれば可能ですか?“積立額・運用益”をシミュレーション
iDeCoとNISAは、どちらも老後資金の準備を考える上で優れた制度ですが、それぞれに異なる特徴があります。本記事では、iDeCoとNISAのメリット・デメリットを比較し、50歳から効率的に資産形成する方法について、具体的な運用シミュレーションも交えて解説します。
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iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット【50歳から始める場合】

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、運用する私的年金制度です。50歳から始める場合は、税制優遇のメリットがある一方、いくつかの制約もあります。
 

メリット

iDeCoに拠出した掛金は、その年の所得税や住民税を計算する際に全額が所得控除の対象となります。掛金が全額所得控除となるため、節税効果をすぐに実感できるのが特徴です。
 
例えば、年収500万円の人が毎月2万円(年間24万円)を拠出すると、国民年金基金連合会が運営するiDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」で計算すると、年間で約4万8000円の税負担の軽減が可能です。
 
また、運用で得られた利益(売却益や分配金)は、通常かかる約20%の税金が非課税になります。さらに、受取時も退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、税負担を抑えられます。
 

デメリット

iDeCoは公的年金を保管するための私的年金制度であるため、原則60歳になるまで資産を引き出すことはできません。急な出費が必要になった場合でも、途中解約や引き出しはできないため注意が必要です。また、今回のように50歳から始める場合は、積立期間が65歳までの最長でも15年となるため、十分な資産を形成できない可能性もあります。
 

NISA(ニーサ)のメリット・デメリット【50歳から始める場合】

NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税となる制度で、iDeCoに比べて自由度が高いのが特徴です。
 

メリット

NISA口座で運用する資産は、いつでも売却・引き出しが可能なため、急な出費にも対応できるなど、流動性の高さがiDeCoとの大きな違いです。NISAの非課税保有限度額は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を合わせて最大1800万円が運用できます。
 
積立投資でコツコツ資産を増やしつつ、成長投資枠を活用して個別株にも投資できるなど、柔軟性の高い運用が可能です。
 

デメリット

NISAにはiDeCoのような所得控除がないため、直接的な節税効果は得られません。また、老後資金として運用する場合には、65歳以降どのように資産を取り崩すか、プランを考える必要があります。
 

50歳から2000万円を貯めるための運用シミュレーション

50歳から2000万円を準備するのは容易ではありませんが、iDeCoとNISAを併用することで可能性を高められます。まずは、節税効果の高いiDeCoで掛金上限額まで積み立て、それを超える分や将来引き出す可能性のある資金は、NISAで積み立てるのが効率的です。
 

目標金額2000万円のシミュレーション

「企業年金等に加入していない会社員」が50歳から65歳までの15年間を運用期間とし、年率3%の利回りで2000万円を貯めるために必要な掛け金を算出してみましょう。iDeCoは月額上限の2万3000円を掛け、残りはNISAで積み立ててみます。
 
まず、iDeCoの運用成果は、積立総額が414万円、運用益が約108万円となり、15年後の評価額は522万円です。NISAは残りの1478万円を貯めると想定した場合、必要な積立額は月6万5330円となります。
 
図表1

項目 毎月の積立額 積立総額 運用益 15年後の評価額
iDeCo 2万3000円 414万円 108万円 522万円
NISA 6万5330円 1176万円 302万円 1478万円
合計 8万8330円 1590万円 410万円 2000万円

筆者作成
 
この結果から、2000万円の目標を達成するには毎月8万8000円程度の積立が必要となります。ただし、これはあくまで試算であり、実際の運用成績が保証されるものではありません。
 

50歳からの最適な選び方【iDeCoとNISAを併用しよう】

50歳から老後資金2000万円を準備するには、iDeCoとNISAそれぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。iDeCoは節税メリットが大きい一方、引き出し制限があります。NISAは流動性が高く柔軟に使えますが、直接的な節税効果はありません。
 
自分のライフプランや資産状況に合わせて両方を組み合わせれば、より効率的かつ堅実に老後資金を準備できます。しっかり計画を立て、長期的な視点で資産形成に取り組んでみてください。
 

出典

国民年金金連合会 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の特徴
国民年金金連合会 iDeCo公式サイト かんたん税制優遇シミュレーション
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
金融庁 NISA特設ウェブサイト つみたてシミュレーター
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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