同僚は「児童手当240万円」を“NISAで運用”しています。オルカンなら「年率5%で170万円以上増える」そうですが、リスクが心配です。それでも投資が効率いいでしょうか?

配信日: 2025.10.04
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同僚は「児童手当240万円」を“NISAで運用”しています。オルカンなら「年率5%で170万円以上増える」そうですが、リスクが心配です。それでも投資が効率いいでしょうか?
多くの子育て世帯にとって、児童手当は教育資金を準備するうえで大切な柱です。児童手当を生活費の補てんに使わず、将来の学費のために手をつけずに貯金している人も多いでしょう。
 
そんな中で、「NISAで投資に回すと効率的に増やせる」といった話を耳にし、自分もまねしたほうがいいのかと思うこともあるかもしれません。
 
本記事では、児童手当でNISA投資をしたときのリターンやリスクを整理します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

児童手当をNISAで運用するとどれくらい増えるのか

児童手当は、0歳から高校卒業相当年齢(18歳になった最初の3月末)まで支給されます。支給金額は3歳未満が1万5000円、3歳以上が1万円です。
 
子どもが4月2日生まれの場合、0歳から2歳で1万5000円×36ヶ月=54万円、3歳から18歳の3月末までで1万円×192ヶ月=192万円、合計で246万円が受け取れます。
 
これを、毎月NISAを使って積み立て運用し、平均年5%で運用できたときの資産額は約420万円です。元本246万円に対して174万円の運用益が得られます。本来なら運用益の約20%に当たる約35万円の税金がかかりますが、NISAを使えば非課税なのも大きなメリットです。
 
文部科学省の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査によると、私立大学の初年度学費(授業料、入学料、施設設備費、実験実習料、その他を含む)は約148万円となっています。運用益だけでこれを上回る可能性があるため、「児童手当を投資に回せば教育資金を効率的に準備できる」という考えには、一定の根拠があるといえるでしょう。
 

必要なときに暴落するリスクについて考える

ただし、投資は期待通りに増えるとは限りません。年率5%のリターンを目指すには、オルカン(全世界株式=オール・カントリー)のような株式中心の運用が必要となり、当然ながら値動きの大きさや元本割れのリスクを伴います。
 
特に注意したいのが、大学進学のタイミングで大暴落が起きる場合です。三井住友DSアセットマネジメントの資料によれば、リーマンショック時に全世界株式(円ベース)は最大49%下落し、元の水準に戻るまで4年かかっています。
 
この通りの暴落が起これば、シミュレーション上は420万円になっているはずの資産が一時的に214万円にまで減少することになるのです。しかも、大学の学費は「その時点で」必要になるため、回復を待つ余裕がないかもしれません。
 
回復まで4年間かかったことを踏まえると、在学中ずっと相場が軟調で、想定した教育資金が不足するリスクも考えられるのです。
 

教育資金を投資に回す際に注意すべきポイント

教育資金は老後資金と違い、使う時期がある程度決まっています。そのため、運用益を前提にするのではなく、思い通りにいかなかったときにも対応できるようにデザインすることが重要です。
 
リスクの分散には次のような工夫が考えられます。
 

・児童手当の一部は定期預金や学資保険で安全に確保する
・高校入学以降は株式比率を下げ、元本を守る運用に切り替える
・暴落時のシナリオを想定し、別途資金を準備しておく

 
教育資金は、必ず必要になるお金だからこそ、運用で増やすことよりも「確実に用意できる体制」を整えておくことが最も大切です。
 

まとめ

児童手当をNISAで運用すると、年率5%を想定した場合には170万円以上増える可能性があります。効率的に教育資金を用意できる方法の1つとして魅力的ですが、大学進学時に暴落が重なると必要資金を確保できないリスクも無視できません。
 
したがって、「全額投資する」のではなく、「一部を投資で増やし、一部は安全資産で守る」といったバランス型の準備が現実的といえます。教育費は必ず必要になるお金だからこそ、リスクとリターンを冷静にてんびんにかけ、家庭に合った方法を選ぶことが重要です。
 

出典

文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 コロナショックとリーマンショックの比較
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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