50歳からNISAを始めるのは意味がない? 老後資金を貯めるために毎月5万円の積立で足りますか?
NISAは若いうちから始めるほど長期運用によって複利効果が大きいとされるため、50代からでは遅いのでは、と不安に思うのも自然でしょう。しかし実際には、50歳からのNISA活用にも十分な意義があります。
本記事では、毎月5万円を積み立てた場合のシミュレーションを紹介しながら、50代からの資産形成がどこまで可能かを考えていきます。
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目次
50歳からでもNISAを始める意味はあるのか
NISAは投資で得た利益が一定の制限のもと非課税になる制度です。通常であれば運用益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すればこれが非課税となります。
このメリットは年齢に関係なく誰でも享受できるため、50歳から始めても制度上の恩恵は変わりません。さらに、2024年から始まったNISAの新制度では非課税で保有できる期間が無期限となり、長く資産を育て続けられる点も魅力です。
一方で、若いうちに比べれば運用できる期間は短くなります。複利効果が十分に働きにくいのは事実であり、リスクとリターンをより慎重に検討する必要があります。それでも、50代から積立投資を始める人は一定数おり、制度上も年齢制限はありません。大切なのは「短い期間の中でどのように運用するか」を考える姿勢です。
毎月5万円の積立でどのくらい増えるのか
では、実際に毎月5万円を積み立てた場合、どの程度の資産を作れるのでしょうか。金融庁の「つみたてシミュレーター」を参考にすると、イメージがつかみやすくなります。
例えば、50歳から65歳までの15年間、利回り3%で運用したとすると、元本は900万円となり、運用益を含めて総額はおおよそ1130万円程度に達します。利回りが5%であれば運用益はさらに大きくなり、1300万円前後に膨らむ可能性もあります。ただし当然ながら運用成績は保証されるものではなく、相場の変動によって結果は上下します。
また、より短期間である10年間の積立を仮定すると、元本600万円に対して利回り3%なら約700万円、5%なら770万円程度まで増えるといったシミュレーション結果です。数字だけを見ると着実に資産は増えますが、老後の生活資金として十分かどうかは別問題です。
老後資金に足りるのか、不足する場合はどうするか
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の生活費は月26万円程度とされる一方、年金だけではまかないきれないケースも少なくありません。
仮に65歳以降の生活費を20年分用意することを考えると、数千万円規模の資金が必要になる場合があります。そのため、毎月5万円を15年間積み立てるだけでは心もとないと感じる方が多いでしょう。
不足を補うためには、まず老後に必要な金額を把握することが重要です。年金や退職金、預貯金といった他の資産を合わせた上で、どれくらい追加で準備すべきかを逆算します。
その上で、積立額を5万円に固定せず、余裕のある時期には増額し、厳しい時期には減額するなど柔軟に調整するのもひとつの方法です。さらに、退職金やボーナスの一部を投資に回して資金を厚くすることも有効でしょう。
また、いざという時に備え、日常生活費や急な出費に対応できる現金を別に確保しておくことも欠かせません。資産をすべて投資に回してしまうと、相場の下落時に必要なお金を取り崩さざるを得なくなるからです。
まとめ:50歳からのNISAは「遅い」ではなく「まだ間に合う」
50歳からNISAを始めるのは遅すぎるわけではありません。非課税という制度的な強みは年齢に関わらず生かせますし、10年から15年といった期間でも、毎月5万円を積み立てれば数百万円から1000万円を超える資産を形成することも可能でしょう。
ただし、それだけで老後資金が十分とは言い切れないため、他の資産や退職金、支出の見直しと組み合わせて戦略を立てることが求められます。
重要なのは、「今からでも始める価値がある」と前向きに考えつつ、自分の生活設計に合った無理のない投資を続けることです。老後資金に不安を抱えているなら、まずは5万円の積立からスタートしてみてはいかがでしょうか。
出典
金融庁 つみたてシミュレーター
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
