定年した父が最近NISAを始め、毎月3万円投資しているそうです。長期運用の効果はあるのか、年齢的にちょっと心配です。
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目次
NISAは「若者の制度」ではない
NISAというと「若い人が長期積立で資産形成をするもの」というイメージが強いですが、実際は年齢制限がなく、60代・70代から始めても問題ありません。
特に2024年から新しい制度に変わり、生涯で1800万円までの非課税投資枠が設けられています。運用益や配当金に税金がかからないため、定期預金よりも効率よく資産を増やすことが可能です。
株式会社岩手銀行の調査によると、NISA口座総数は60歳代で約300万口座、70歳代で約250万口座でした。20歳代の口座数が約200万口座なので、年齢が上がるごとに増えていく傾向にあります。
この口座数から分かる通り、定年後でも「年金+αの収入源を確保したい」「お金に働いてもらう感覚を体験したい」という目的で始める方が増えています。
月3万円でも、“複利”が味方になる
「今から長期運用しても、10年もないから効果が薄いのでは? 」と思うかもしれません。
しかし、時間は少なくても複利の力は働きます。たとえば、月3万円を年利3%で10年間積み立てた場合、元本360万円に対して約420万円になります。もし年利5%で運用できれば、約465万円まで増える計算です。
つまり、「老後資金のメインを増やす」というよりも、“生活のゆとり”を生む補助的な資産形成として考えると現実的です。
リスクを抑えるには「分散」と「時間軸」
年齢を重ねるほど、元本割れのリスクには敏感になります。そのため、シニア世代がNISAを活用する際には、リスクを取りすぎない運用設計が重要です。
1.積立投資で時間分散
一括で投資するよりも、毎月コツコツと買い続ける「ドルコスト平均法」を使うことで、価格変動リスクを平準化できます。
2.投資先を分散
株式だけでなく、世界の債券やインデックスファンドなど、値動きの異なる資産を組み合わせましょう。
3.生活資金とは分ける
「5年以内に使うお金」や「急な医療費」は投資に回さないのが鉄則です。投資用資金と生活費は別管理が安心です。
老後の投資は「安心できるメンタル設計」が鍵
60代以降の投資で大切なのは「いくら増えるか」よりも「どの程度の変動に耐えられるか」です。もし暴落時に不安で眠れないようなら、株式比率を下げて安定資産を多めにするなど、心の安定を優先するポートフォリオを組むのが正解です。
また、長期で運用するつもりがあっても、体調や判断力の変化に備えて、家族と共有しておくことも大切。「どの証券会社で、どんなファンドを買っているか」をメモに残すだけでも、後々の安心につながります。
定年後こそ「お金の管理力」が資産を守る
NISAを始めたからといって、無理にリスクを取る必要はありません。むしろ、年齢に合わせて“守りながら増やす”スタンスを取ることが重要です。毎月3万円を積み立てる習慣は、金額以上に「自分の生活を見直す力」を育ててくれます。
定年後は、収入が減っても時間に余裕ができますので、その時間を生かして投資や家計管理を学ぶこと自体が新しい生きがいになることもあるでしょう。
NISAは「老後の第二の年金づくり」にも
定年後にNISAを始めるのは、決して遅くありません。月3万円の投資でも、10年で数十万円の運用益が見込めるうえ、税金がかからないという大きなメリットがあります。大切なのは「焦らず、無理せず、長く続ける」ことです。
そして、投資を通じて「お金とどう付き合うか」を見直すことが、老後の安心と充実を支える大切な一歩になります。
出典
株式会社岩手銀行 非課税口座「NISA(ニーサ)」を活用しよう!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
