投資に熱心な夫、定年後も引き続き“毎月12万円”「NISA」に拠出し生活に余裕がありません…。60歳以降は余裕資金からいくら投資に回すのが最適解なのでしょうか?
本記事では、統計データを基に60歳代・70歳代の平均的な収入や余裕資金、リスク許容度に応じた投資割合の考え方を整理し、無理なく投資を続けるための目安を紹介します。
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目次
収入からNISAなどへの振り分け割合は「60歳代」で“年間50万円程度”
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「調査・統計データ 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ」によると、年間手取り収入から金融資産へ振り分ける割合は60歳代が平均25%、70歳代が平均22%となっています。
そのうち「年間手取り収入からの債券・投資信託・株式への振り分け割合(金融資産保有世帯のうち金融資産に振り分けた世帯)」を見ると60歳代が平均9%、70歳代が平均7%となりました。
さらに「年間手取り収入(税引後)」を見ると、年間手取り収入は60歳代が平均546万円、70歳代が平均439万円です。これを基に投資に回している金額を計算すると以下のようになります。
・60歳代:平均546万円×平均9%=年間49.14万円程度
・70歳代:平均439万円×平均7%=年間30.73万円程度
このことから、毎月12万円を継続して積み立てるケースは、収入のすべてが余裕資金だとしてもかなり負担が大きいでしょう。
そもそも60歳以降の“余裕資金”って平均するといくらくらい?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2024年」によると、60歳以上の消費支出は月額30万8660円で、年間では370万3920円に達します。これを前提にすると、60歳以降の余裕資金は以下のように計算されます。
・60歳代:平均546万円-約370万円=176万円
・70歳代:平均439万円-約370万円=69万円
ただ、家計によって大きな差があることも予想されますが、前記の調査の金融資産保有額(金融資産保有世帯)を見ると60歳代で平均2581万円(中央値1140万円)、70歳代で平均2450万円(中央値1205万円)程度の金融資産を別途保有している可能性があるようです。
60歳以降の“投資割合”は「リスク許容度」によって判断
一般的に60歳以降は、取り崩しを意識して現金割合を増やす世代といわれます。投資割合は、余裕資金の多さやリスク許容度に応じて決めるのが定石です。
そのため、余裕資金が多くリスク許容度が高ければ「増やす」ことを重視し、少なくリスク許容度が低ければ「守る」ことを重視したポートフォリオが適しているでしょう。投資信託は国内・外国、債券・株式の比率でリスクとリターンが変わるため、許容度別に資産構成を工夫することが大切です。
まとめ
60歳以降の投資は、収入・余裕資金・リスク許容度を踏まえて慎重に判断することが重要です。統計上は、60歳代では年間50万円程度を投資に回す家庭が平均的なようですが、生活に支障がない範囲で投資額を調整することが現実的かもしれません。
また、投資先やポートフォリオを工夫し、年齢や資金状況に応じて少しずつ比率を調整することも有効といえます。これらのことを意識して、無理のない運用を心掛けましょう。
出典
金融経済教育推進機構 調査・統計データ集 家計の金融行動に関する世論調査 2024年
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要(10ページ)(pdf)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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