40歳・年収520万円の同僚が「NISAを月1万円→3万円」に増額! “20年後の差”はなんと約240万円? 老後2000万円問題はどこまで解消できる?
こうしたなか、積立投資の金額を見直す動きも増えていますが、積立額を増やすことが将来の安心にどこまでつながるのかは、冷静に確認する必要があります。
本記事ではNISAを活用した資産形成を例に、積立額の違いが長期的なお金の準備にどのような影響を与えるのかを整理します。
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目次
NISAの仕組みとお金の基本的な考え方
NISAは、長期・積立・分散投資を前提とした非課税制度です。通常、投資で得た利益には約2割の税金がかかりますが、NISAではこの税金がかかりません。利益がそのまま再投資に回るため、長期で見ると資産形成に有利に働きます。
ただし、非課税であることは「必ず増える」ことを意味しません。投資信託などの価格は、市場環境によって上下します。NISAは税制面での優遇がある一方、運用リスクは通常の投資と変わらない点を理解しておく必要があります。
月1万円と月3万円、20年後の資産差はどのくらい?
積立額を増やすと、将来の資産額にどの程度の差が出るのでしょうか。年率5%で運用できたと仮定し、20年間積み立てた場合で、金融庁の「つみたてシミュレーター」でシミュレーションしてみます。
月1万円の場合、20年間の積立総額は240万円です。これを運用した場合、将来の運用資産額は406万円になります。一方、月3万円では積立総額は1217万円です。単純比較でも、両者の差はおよそ800万円に広がります。
「差が約240万円」という見方は、元本差や運用条件を限定した一部のケースと考えられますが、実際には積立額を増やすことで、時間の経過とともに差が拡大していくことが分かります。
老後2000万円問題はどこまでカバーできるのか
老後2000万円問題は、老後の生活費と年金収入の差を想定した試算から生まれた目安です。
ただし、この金額は将来の物価上昇を十分に織り込んだものではなく、現在の生活水準を前提とした概算である点には注意が必要です。今後も物価高が続けば、同じ生活を送るために必要な金額は増える可能性があります。
仮に月3万円のNISAで20年運用し、1200万円を用意できたとすると、2000万円のうち6割程度をカバーできる計算です。ただし、これはあくまで一定の運用成果を前提とした場合であり、必ずしも計画どおりに進むとはかぎりません。
また、物価が上昇した場合には、実質的なカバー率はこれより低くなる可能性があります。そのため、老後2000万円という数字をそのまま目標にするのではなく、将来の物価水準を意識しながら、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
老後資金は投資だけで準備するものではなく、年金や退職金、預貯金との組み合わせで考える必要があります。したがって、NISAはその一部を担う手段と位置づけるのが現実的でしょう。
積立額を増やす前に考えたい家計とのバランス
積立額を増やす判断では、家計への影響を無視できません。月3万円の積立は年間36万円となり、手取り収入に対する負担は決して小さくありません。急な出費に備える生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲で続けられる金額を設定することが重要です。
投資は、長く続けてこそ効果が出ます。途中で積立をやめてしまえば、想定していた資産形成は実現しません。金額の多さよりも、継続可能性を優先する視点が重要となります。
自分に合った積立額で長期投資を続けよう
NISAの積立額を増やせば、長期的に見て資産形成のスピードは高まります。しかし、投資にはリスクがあり、老後2000万円問題を単独で解決できる万能策ではありません。
家計の余力や将来設計、リスク許容度を踏まえ、NISAの積立額をいくらに設定するかを見極めたうえで、無理のない金額で長期投資を続けることが、結果的に老後資金への不安を抑えることにつながるでしょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト
金融庁 NISA特設ウェブサイト つみたてシミュレーター
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
