同僚が「冬ボーナス80万円」を、NISAで“オルカン”に一括投資!「積立」じゃなくて大丈夫? 毎年・毎月の場合で「過去7年分」成績を比較
しかし、実は過去7年間の成績を比較すると、一括投資のほうが有利な年が多いという結果が出ています。仮にボーナスでオルカン(オール・カントリー/全世界株式)に投資をするならば、一括投資と積立投資、どちらが良いのでしょうか?
本記事では、具体的なシミュレーション結果をもとに、一括投資と積立投資のメリット・デメリットを比較検討します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
一括投資は積立投資より5勝2敗? 過去7年のデータで比較する一括投資のメリット
まずは12月にもらったボーナス80万円を1月の月初に一括投資した場合と、6万6667円ずつ毎月月初に積立投資した場合の成績を図表1に示します。投資先はeMAXIS Slim 全世界株式です。
図表1
三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 全世界株式の設定来データより筆者作成
シミュレーション結果を見てみると、7年間のうち5回(2019年、2021年、2023年、2024年、2025年)で、一括投資が積立投資の資産額を上回っています。回数だけで見ると、一括投資のほうが有利な年が多いという結果です。
購入できる口数を詳しく見てみると、2019年や2021年、2023年などは、一括投資が積立投資を大きく引き離しており、金額ベースでも一括投資のほうが有利な結果が出ていると言えるでしょう。
一括投資が有利な傾向にある理由は、全世界株式(オルカン)が長期的に右肩上がりで成長してきたためです。オルカンの株価は上がり下がりを繰り返してはいるものの、長い期間でみると右肩上がりに上昇しています。
つまり、一括投資で少しでも早く投資信託を購入することで、投資期間を長く確保でき、上昇の恩恵を最大限に受けられるのです。
世界経済がこれからも成長し続けるという前提に立って投資をするならば、一括投資のほうが合理的と言えるでしょう。
積立投資にもメリットはある! ドルコスト平均法とは?
一括投資が積立投資に負けた年もあります。図表1を見ると、2020年、2022年は積立投資のほうがより多くの口数を購入できているのです。
長い期間でみるとオルカンの株価は右肩上がりですが、1年など短い期間で見ると一時的に株価が下がることもあります。
例えば2020年は、コロナショックによる世界的な株価暴落が発生した年です。この年、年初に一括投資した場合に購入できたのは69万1503口であったのに対し、73万3702口購入できた積立投資を選んだほうが有利だったことになります。
これは、一括投資の最大のデメリットである高値掴みのリスクが現実となったケースで、もしボーナス80万円を一括投資した直後に暴落が起きると、大きな損失が生じるのです。
一方で積立投資の場合は、ドルコスト平均法の効果が期待できます。ドルコスト平均法とは、毎月一定額を買い続ける投資手法です。
価格が高いときには少なく、価格が安いときにはより多くの口数を自動的に購入できるため、平均取得単価を下げる効果があります。
2020年のように、年の途中で価格が大きく下落した局面では、このドルコスト平均法の効果が発揮され、高値掴みのリスクを分散できる積立投資が有利になるのです。
統計的な合理性と精神的な安心感──どちらを選ぶか
シミュレーション結果が示す通り、過去7年間では5勝2敗と、一括投資のほうが有利な結果となっています。「オルカンは長期的には右肩上がり」という前提に立てば、ボーナスを一括投資するという判断は、合理的な選択と言えるのです。
しかし、積立投資には、ドルコスト平均法によって暴落時でも高値掴みのリスクを避けられるという、精神的な安心感があります。もし80万円を一括投資した直後に暴落が起きても、積立投資であれば精神的な負担は少なくて済むのです。
統計的な合理性がある一括投資で上昇相場の利益を最大化したいのか、積立投資で暴落時のリスクを分散して精神的な安心感を得たいのか──どちらが絶対的に正しいということはありません。投資スタイルやリスク許容度など、自分に合った投資法を選ぶことが大切です。
出典
三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 全世界株式
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
