もし40歳会社員が「宝くじ1億円」当たったら…「都内にマンション」「NISAに全額」どっちが安泰? それぞれの“年間収入”をシミュレーション
本記事で1億円を「都内の不動産」と「NISA制度活用を中心とした株式など」にそれぞれ投資した場合でシミュレーションしてみましょう。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
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巨額資金を投資するなら「不動産投資」と「株式投資」のどちらが有利?
1億円を全額投資し、80歳まで働かずにFIREを目指す40歳の会社員を想定して、不動産投資と株式投資を行う場合の条件をそれぞれ以下のようにざっくりとシミュレーションしてみましょう。
・都内に1億円(諸費用・税込み)の不動産を現金一括購入
・家賃の実質利回りは3.5%とする(現在の東京都中古マンション表面利回りは2.8~5%程度)
・高配当の日本株式各種に1億円を一括投資
・当初の税引き後配当利回りは3%とする(現在の東証プライム市場における単純平均配当利回りは2.26%)
・5年後にNISA枠1800万円を満額埋めて、その後の税引き後配当利回りは3.1%とする
不動産投資の場合、年間に得られる収入は350万円。株式投資の場合は当初300万円、5年後以降は310万円程度となる見込みです。これだけを見ると不動産投資のほうが有利そうですが、40年後の資産価値については、不動産のほうが建物の劣化が起きるぶん不利になるといえるでしょう。
ただし、これはあくまでシミュレーション上の数字であり、実際には40年間の家賃・配当の利回り変動、40年後の不動産価格・株式価格の変動により大きく実績が左右されます。特に不動産投資に関しては「空室リスク」が大きくのしかかるため、より保守的なシミュレーションをしておくほうが良いでしょう。
また、不動産投資は、投資生活の途中で生活資金不足におちいった場合、資産を取り崩しにくいという点もデメリットです。資産運用の柔軟性という意味では、株式投資に軍配が上がると言えます。
FPとして強調したいことは、不動産でも株式でも、資産価格や配当額(家賃額)の大きな変動は、常に起こり得るリスクであるということです。また、将来のインフレ加速など、社会的な環境変化も無視はできません。現時点のシミュレーション結果をもとに、「将来の安泰」を確信してしまうことは慎むべきでしょう。
「1億円の臨時収入をもとにFIREするには?」筆者ならこうアドバイスする
筆者がFPの立場で、「1億円の臨時収入」をもとにFIREしたい人から相談を受けたとすれば、以下のようにアドバイスすると思います。
・郊外でもいいので、自宅を5000万円程度で購入する。住宅ローンが組めるなら組む。
・残りの5000万円で、手堅い投資信託を一括購入する。NISA枠はフル活用する。住宅ローンを組めた場合は、その分浮いたお金も投資に向ける。
・毎年、投資信託から出た利益を取り崩すと同時に、徐々にNISA枠を埋めていく。
・生活資金が不足した場合は、ためらいなく必要な分だけ株式・投資信託を売却する。
・仕事は完全に引退せず、楽しく働ける分野で少額でもお金を稼ぎ続ける。
多くの人は「自宅の購入」を投資とは考えていませんが、筆者に言わせれば自宅購入はれっきとした「不動産投資」です。しかもこれは、自分が住んでいるため「空室リスク」がゼロであること、「住宅ローン」という有利な借金を活用できることといったメリットもありますので、FIRE達成のための大きな支えになります。
特に重要なのは、FIREといっても本来の「早期引退(Retire Early)」ではなく、「早期再出発(Restart Early)」を強くおすすめしたいことです。
仕事から完全にリタイアしてしまうと、せっかくの自分の「人的資本」をゼロにしてしまい、不動産や株式などの「金融資本」しか頼るものがなくなるので、引退後の生活を不安定にしかねません。
生きがいづくりのような形でも良いので、無理のない範囲で、できれば楽しく、自分から進んで働ける環境を自ら作ってほしいと思います。
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まとめ
1億円というまとまった資金を投資する場合、都内の不動産投資であれば年間350万円程度、高配当株式であれば300万円程度の手取り収入が得られる見込みです。ただしこれは、各種のリスクを無視したざっくりとしたシミュレーションのため、「将来の安泰」が保証されるものではありません。
筆者としては、投資からの収入だけをあてにし、自分の人的資本をゼロにしてしまう「早期引退」ではなく、投資からの収入を得ながらも無理なく楽しく働く「早期再出発」という意味でのFIREを強くおすすめします。
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
