秋田までの「新幹線代1万8000円」を“7000円抑えた”という同僚。JR東日本の「株主優待」らしいですが“必要な投資額”はどのくらいですか? 優待を受ける条件も確認
本記事では、JR東日本の株主優待券について、実際の割引額と、優待を受け取るための条件や投資資金、投資する際のリスクについて解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
新幹線が4割引! 片道7000円以上の節約効果
JR東日本の株主優待割引券を利用すると、1枚につき片道の運賃および料金が4割引になります。新幹線の特急料金も対象となるため、例えば、はやぶさを使って東京駅から秋田駅まで行く場合、通常1万7820円かかっていたのが、1万670円(2025年12月28日指定席の場合、以下同様とします)で済むのです。
同様に東京駅-新青森駅間なら通常1万7470円を1万470円に、東京駅-仙台間なら通常1万1610円を6720円に抑えられます。毎年新幹線で帰省する必要がある人にとってこの割引は魅力的となるでしょう。
なお、あくまでもJR東日本の優待なのでJR東日本管内でしか割引は使えません。例えば東海道新幹線で名古屋・大阪方面に帰省する人は使えませんし、北陸新幹線で金沢・敦賀方面へ行く場合も、上越妙高駅より先はJR西日本の管轄となるため、その区間は割引の対象外です。
株主優待をもらうための条件と投資額
優待券を受け取るには、毎年3月31日の最終株主名簿に記載されている必要があり、受け取れる優待券の枚数は保有株数に応じて決まります。
株主優待券の対象となるのは300株以上保有の株主です。受け取れる枚数は300株から399株で1枚、400株から599株で2枚、600株から699株で3枚といった具合に保有枚数に応じて増えていきます。
2025年12月18日時点の株価は4100円なので、これを基準にもっとも少ない投資額ですぐに優待をもらいたい場合は123万円の資金が必要なのです。往復分(2枚)を確保したい場合は164万円(400株)が必要で、誰でも気軽に手を出せる金額ではありません。
なお、100株以上を2年以上継続して保有した場合に限り、追加で1枚発行される制度があります。41万円で100株を買えば2年後には株主優待券をもらえるので、今のうちに買っておくのも1つの手段です。
投資する前に知っておくべきリスクと選択肢
株主優待狙いの投資であっても、JR東日本株の購入は「元本保証がない株式投資」だということを考えなければなりません。例えば、株価が4100円から3946円へ下落した場合、100株保有でも1万5400円、300株保有した場合は4万6200円の含み損が発生します。
新幹線代で7000円得をしたとしても、株価の変動によってそれ以上のマイナスが出る可能性があるのです。
もちろん、プラスになる場合もあるため、リスクだけではありません。それでも優待は株式投資の1つの材料であって、会社の収益力、財務力や将来性を総合的に判断するというのは必要です。
「投資のリスクは負いたくないけれど、新幹線は安く乗りたい」という場合は、金券ショップを使っても良いでしょう。
なお、JR東日本の株主優待割引券は、株主本人以外でも利用できる仕組みとなっており、実際に金券ショップなどで取り扱われている例も見られます。時期によりますが、株主優待割引券は金券ショップ等で1枚3000円~3500円程度で販売されていることがあります。
仮に3500円で券を購入したとしても、7000円の割引が受けられれば、実質3500円お得に新幹線に乗れるのです。
優待券はお得だが投資判断は重要
株主優待による4割の割引は、帰省費用を抑えたい人にとって非常に魅力的です。しかし、その権利を得るためには数十万から百万円単位の資金が必要となり、日々の株価変動リスクにさらされることになります。
株主優待のメリットと価格変動のリスクを総合的に判断した上で、株式の購入を検討すると良いでしょう。
出典
JR東日本 株主優待のご案内
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士