祖父が運用していた投資信託口座を相続したら課税されました。NISAだったら課税はされなかったのでしょうか?

配信日: 2025.12.28
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祖父が運用していた投資信託口座を相続したら課税されました。NISAだったら課税はされなかったのでしょうか?
祖父が長年運用していた投資信託口座を相続したところ、「税金がかかった」という経験をした方もおられるのではないでしょうか。
 
「せっかく資産を引き継いだのに、なぜ課税されるのか」「もしNISA口座だったら税金はかからなかったのでは? 」と疑問に思うのは自然なことです。本記事では、投資信託の相続時にかかる税金と、NISA口座だった場合の違いについて解説します。
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投資信託を相続すると何に課税されるのか

投資信託を相続した場合に発生する税金の種類は、大きく分けて二つあります。
 
一つ目は相続税です。投資信託は現金や不動産と同じく相続財産に含まれます。評価額は、原則として被相続人が亡くなった日の基準価額で算定され、相続財産の合計が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税が課されます。これは口座の種類にかかわらず共通です。
 

「相続しただけで課税された」と感じる理由

二つ目の論点が、相続後に売却した際の税金です。ここが多くの人にとって分かりにくい部分です。
 
通常の特定口座や一般口座で運用されていた投資信託は、祖父が生前に得ていた含み益は相続時点では課税されません。しかし、相続人がその投資信託を売却すると、取得価額は「相続開始日の時価」として再設定されます。
 
そのため、相続後に価格が上昇していれば、その値上がり分に対して約20%(所得税・住民税)の譲渡所得税が発生します。この税金がかかることにより、「相続したら課税された」と感じてしまうケースが多いのです。
 

NISA口座なら相続時に非課税になるのか?

では、祖父がNISA口座で投資信託を運用していた場合はどうでしょうか。
 
結論から言うと、NISAであっても相続時に非課税のメリットは引き継げません。被相続人が亡くなった時点で、NISA口座は終了し、保有していた投資信託は相続人の課税口座(特定口座または一般口座)へ移されるからです。つまり、「NISAだから相続後もずっと非課税」ではありません。
 

NISAだった場合でも得られる実質的なメリット

ここで重要なのは、NISAが「全く意味がない制度」ではないということです。祖父が生前にNISA口座で運用していた期間中の分配金や売却益は非課税ですので、その分だけ資産効率は高まっています。
 
仮に同じ投資信託を課税口座で運用していた場合と比べ、本来支払うはずだった税金分が引かれずに再投資されているため、最終的な相続財産額が増えている可能性もあります。つまり、NISAは「相続後の税金をゼロにする制度」ではありませんが、「相続までの資産形成を有利にする制度」と言えます。
 

相続対策として知っておきたいポイント

相続とNISAを考える際によくある誤解が、「非課税=相続も無税」という考え方です。しかし、NISAはあくまで運用益に対する税制優遇であり、相続税そのものを免除する制度ではありません。
 
相続税対策を本格的に考える場合は、NISAだけに頼るのではなく、生前贈与、生命保険の活用、資産の分散などを組み合わせた総合的な対策が重要です。
 

相続とNISAの税金は「非課税」の意味を正しく理解することが大切

祖父の投資信託口座を相続して課税された場合、相続税や売却時の譲渡所得税が理由です。NISA口座であっても相続時に非課税の恩恵がそのまま引き継がれるわけではありません。
 
ただし、生前の運用益が非課税である点は大きなメリットです。制度の仕組みを正しく理解し、後悔のない資産承継を考えていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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