【24期連続増配予定】もし「KDDI」に“100万円を放置”していたら…約20年でいくらになった?「配当53倍」が支える“複利の爆発力”を検証!
KDDIは24期連続で増配が見込まれ、配当金は約53倍に拡大しています。株価も長期的に右肩上がりで推移しており、値上がり益と配当再投資による複利効果を組み合わせた資産成長が期待できます。
本記事では、当時100万円を投じて長期保有した場合、資産がどのように推移したのかをシミュレーションします。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
KDDIが24年連続で増配を続けられる理由
KDDIは2002年3月期から2025年3月期までの23年間にわたり、連続して配当を増やしており、2026年3月期も増配予定で、24年連続の増配が見込まれています。同社が展開している通信事業は、生活に密着したサービスであることから、一般に景気変動の影響を受けにくい分野とされています。
また、KDDIは個人向け通信に加え、法人向けサービスや金融関連事業なども展開しており、事業領域は多岐にわたっています。こうした複数の事業を持つ構成は、特定分野の環境変化による影響を受けにくくする側面があります。
その結果として、KDDIは長期にわたり配当を維持・増額してきた実績があり、増配を重視する投資家から一定の評価を受けていると考えられます。
100万円を長期保有した場合の資産成長の内訳
仮に約20年以上前にKDDI株へ100万円を投資し、その後売買を行わずに保有し続けた場合、資産は時間の経過とともに増加しています。主な要因は「株価の上昇」と「配当の積み重ね」の2つです。
以下では、約20年間にわたってKDDI株を保有したケースを前提に、株価による増加と配当による増加の観点から資産成長を見ていきます。
株価の上昇による資産増加は約4倍
KDDIの株価は、短期的には大きな変動を経験しながらも、長期では水準を切り上げてきました。1990年代後半には1000円を超える水準で推移していた時期があり、ITバブル崩壊の影響で一時は200円台まで下落しましたが、その後は回復と調整を繰り返しながら上昇しています。
直近では、2024年の終値が2521円となっており、2000年代初頭の水準と比べると、株価は約4倍に上昇しています。仮にKDDI株へ100万円を投資し、この間売却せずに長期保有していた場合、株価上昇だけでも資産はおおむね4倍程度に増加していたことになります。
配当と再投資による資産増加は約53倍
KDDIの配当は、短期的な業績変動がありながらも、長期では着実に水準を切り上げてきました。
2003年3月期以降、KDDIは増配を継続しており、2026年3月期の配当予想である「1株あたり80円」が予定通り実施されれば、24期連続増配を達成することになります。なお、2025年3月期時点での連続増配期間23期という実績は、上場企業の中でも上位に位置する記録です。
さらに、連続増配の期間だけでなく、配当額そのものの伸びにも注目できます。連続増配が始まる直前の2002年3月期と比べると、2026年3月期までの約24年間で、KDDIの年間配当額は「1株あたり約1.4円」から「80円」へと増加しており、配当水準は「約53倍」に拡大しています。
株価と配当を合わせると、100万円はいくらになっていたか
ここでは、2002年3月時点でKDDI株に100万円を投資し、その後は売却や追加投資を行わず、約20年以上にわたって保有を続けた場合を前提に試算します。配当については、受け取った配当金を再投資せず、すべて現金で受け取ったケースを想定しています。
2002年3月のKDDI株の終値は1株287.5円でした。この価格で100万円分を購入すると、取得株数はおよそ3478株となります。
その後、一時的に下落する局面を挟みながらも、長期的には回復基調で推移しました。2024年の終値は約2521円となっており、株式の評価額は約876万円に拡大しています。
さらに、2002年3月期以降に受け取った配当金は、1株あたり累計で約710円です。3478株分では約247万円に相当します。株価の評価額と累計配当金を合算すると、資産総額は約1120万円となり、当初の100万円は10倍超に成長していた計算です。
増配を続ける企業を長期で保有するという考え方
今回のシミュレーションでは、KDDIのように増配を継続してきた企業を長期で保有した場合、株価の上昇と配当の積み重ねの双方が、資産額の増加に寄与してきたことが確認できました。
短期的な値動きではなく、保有期間を通じた株価推移と配当の累積をあわせて見ることで、長期投資の結果をより具体的に捉えやすくなります。
売買を前提とせず、KDDIのように増配実績を重視して保有を続ける投資が、資産形成の1つの方向性として成り立ってきたことが読み取れます。
出典
KDDI株式会社 2025年3月期 決算短信[IFRS](連結)
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
