親から「いまは貯金じゃなく積立投資をすべきだ」と言われるのですが、なんだか怖くて始められません。失敗しない方法はありますか?
投資は「増える可能性がある」一方で「失敗するかもしれない」というイメージが先行しがちです。そこで本記事では、積立投資は本当に怖いものなのか、失敗を避ける方法はあるのかを整理します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
「失敗しない投資」はない。「失敗しにくい方法」はある
まず、覚えておかなければならないことは、「絶対に失敗しない投資方法は存在しない」ということです。ただし一方で、長期・積立・分散という基本を守ることで、失敗する確率を大きく下げる方法は存在します。
親が勧める「積立投資」は、まさにこの考え方に基づいた手法です。怖さの正体は「投資の仕組み」ではなく、「よく分からないままお金を動かすこと」にある場合が多く、正しく理解すれば不安はかなり小さくなります。
「積立投資」が怖く感じにくい理由
積立投資の最大の特徴は、一度に大きな金額を投資しないことです。
毎月一定額を淡々と積み立てることで、市場の資産価額(投資においては投資対象の価値について、価格ではなくあえて価額といいます)が高いときは少なく、低いときは多く買うことになり、購入価格が平準化されます。この仕組みは「ドル・コスト平均法」と呼ばれ、価額変動のある金融商品と相性がよいとされています。
短期的には値下がりすることもありますが、時間を分散することで心理的な負担を抑えやすい点が、初心者向きとされる理由です。
「怖い」と感じる人がやってしまいがちな失敗
積立投資が怖いと感じる人ほど、最初から大きな金額を投資してしまう、値下がりするとすぐに怖くなってあきらめてしまったり、やめてしまったりする、周囲の成功談や失敗談に振り回される、といった失敗をしてしまいます。
しかし、これらは、投資そのものではなく「投資のやり方」による失敗です。積立投資は短期で結果を求めるものではなく、10年、20年と続けることが前提ですから、途中の値動きに一喜一憂しない設計にすることが重要です。
失敗しにくくするための現実的な3つのポイント
初心者、あるいはリスクを怖がる人にお勧めする、「失敗しにくい積立投資」のポイントは次の3つです。
(1)生活費と投資資金を明確に分けること
当面使う予定のあるお金、生活費と余裕資金・投資用資金は、必ず分けておきます。生活費は預貯金で確保し、投資には回さないことが鉄則です。
(2)無理のない金額から始めること
掛金は、月5000円や1万円で十分です。大切なことは、金額の大小ではなく「いかに長く続けられるか」ということです。「長く継続する」ことで時間を味方につけ、短期間の相場の上下に動揺することで、不必要な売買をしないようにします。
(3)商品はシンプルにすること
全世界株式や国内外に分散された投資信託など、自分にとって仕組みが分かりやすく、納得できる商品を選びます。
この3つを守れば、「怖くて眠れない投資」にはなりにくくなります。
投資をはじめる前のチェックリストとして、図表1を紹介します。
図表1のチェック結果の目安として、7割以上チェックが入っていれば今すぐ始めても大丈夫でしょう。半分ぐらいであれば、お試しとしてスタートさせましょう。半分未満であれば、時期尚早かもしれません。金融機関の担当者に話を聞いたり、信頼できる人とよく話し合ったりして、「投資の意義」について考えをまとめましょう。
まとめ
積立投資は、勇気がある人や思い切りがいい人のために設計されたものではありません。むしろ、不安を感じやすい人のために設計された投資方法です。大切なのは、投資をするかしないかではなく、自分が納得できる形でお金と向き合えているかです。
貯金で安心を確保しつつ、余裕資金の一部を積立投資に回す。そのバランスが、長く続けられる資産形成につながります。怖さを感じるのは、自然なことです。その感覚を無視せず、少しずつ慣れて経験値を積み上げていくことが、「失敗しにくい方法」といえるでしょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト 資産形成の基本
日本証券業協会 投資を決める際の心構え
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
