NISAは「120万円一括」か「月1万積立」か…“10年後の運用益”はどちらが多い?「投資は積立が原則」と信じる人が知らない“複利の恩恵”とは
しかし、「今120万円を一括で投資したほうが、毎月1万円を積み立てるよりも10年後に40万円も多く増える」ということも、現実には起こり得ます。
本記事では、NISAの基本を整理したうえで、「一括投資」と「積立投資」を同じ条件で比較し、なぜ差が生まれるのか、そして「積立が原則」という考え方は本当に間違いなのかを解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
NISAとは?
NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで利益が出ると約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での運用益は原則非課税となります。
そのため、「どのタイミングで、どのように投資するか」は、NISAを使ううえで重要なポイントになります。
「一括投資」と「積立投資」を同じ条件で比較するとどうなる?
それでは、以下2つの条件で一括投資と積立投資を比較していきましょう。
1. 最初に120万円を一括投資
2. 毎月1万円を10年間積立投資
どちらも10年後の元本は120万円となり、想定利回りは年5%とします。
【1. 最初に120万円を一括投資】
120万円を最初にまとめて投資し、年利5%で10年間運用できたとすると、10年後の資産額は約195万円になります。
【2. 毎月1万円を10年間積立投資】
毎月1万円ずつ10年間積み立て、その間ずっと年利5%で運用した場合、元本は同じ120万円ですが、10年後の資産額は約155万円です。
結果として、一括投資のほうが約40万円多く増える計算になります。
なぜ40万円もの差が出るのか?
40万円もの差が生まれる最大の理由は、「お金が市場に置かれている時間」の違いです。
一括投資では、120万円全てが最初から10年間、複利の効果を受け続けます。一方、積立投資では、後から入れるお金ほど運用期間が短くなり、複利の効果が十分に働きません。
つまり、一括投資は時間を最大限使える投資方法であり、安定した利回りがある前提では、有利になりやすいのです。
「投資は積立が原則」は間違い?
それでは、「投資は積立が原則」という考え方は間違いなのでしょうか。答えは「いいえ」です。
積立投資が勧められる理由は、「リターンの最大化」ではなく、「リスク管理」にあります。価格が高いときも安いときも淡々と買うことで、購入価格を平準化でき、暴落時の精神的ダメージも抑えやすくなります。
特に、投資に慣れていない人にとっては、積立投資の安心感は大きなメリットです。
それでも一括投資が有利になりやすい理由
一方、長期的に見ると、右肩上がりで推移してきた市場は多いという事実もあります。
そのため、「長期・分散・低コスト」で運用できる前提があるなら、早く多くの資金を投じたほうが、結果的にリターンが大きくなるかもしれません。一括投資が有利に見えるのは、この時間と市場成長の影響が大きいためです。
一括投資、積立投資が向いている人の特徴
ここまで読んで、自分は一括投資と積立投資のどちらが向いているのかと悩む人もいるでしょう。
一括投資が向いているのは、まとまった余裕資金があり、短期的な値下がりが起きても冷静に保有し続けられる人です。相場は長期的に右肩上がりになりやすいという前提を理解し、複利の効果を早く生かしたい人に適しています。
一方、積立投資が向いているのは、相場の上下に不安を感じやすく、投資のタイミングで悩みたくない人です。毎月一定額を投じることでリスクを分散し、無理なく長く続けたい人に向いた方法といえるでしょう。
なお、一括投資と積立投資は、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。例えば、手元にある余裕資金の一部を一括で投資し、残りは毎月の積立に回すことで、時間分散とリターンの両立を図ることができます。
まとめ
同じ120万円・同じ利回りでも、一括投資と積立投資では、10年後に約40万円の差が生まれる可能性があります。これは、一括投資のほうが「複利が働く時間」が長いためです。
ただし、積立投資はリスクを抑え、続けやすいという大きなメリットがあります。どちらかが正解というわけではなく、自分の資金状況や性格に合った方法を選ぶことが重要です。NISAは、使い方次第で結果が大きく変わる制度です。自分にとって無理のない形で、納得できる運用を考えていきましょう。
出典
金融庁 NISAを知る
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
