62歳で「今日が一番若い」と、NISAを“月3万円”で始めたいと言う妻。パート代の「15万円から出す」とのことですが、60代からはさすがに遅いですか?“老後の投資”のポイントとは
さらに、月収15万円のパート収入がある場合の適切な積立金額の決め方や、無理なく続けるためのポイントまで開設し、老後の投資に関する疑問を解消します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
60代からNISAで月3万円を積み立てることの現実的なメリットと注意点
「60代から積み立てても遅いのでは」と感じる人もいますが、必ずしも年齢がネックになるわけではありません。大事なのは、「何のためのお金か」と「いつ使うか」です。制度の良い点と弱い点を知ったうえで、生活を守りながら使うのが現実的です。
メリット1:運用益が非課税=「利益に約20%課税」を回避できる
NISAの一番分かりやすい利点は、増えた分に税金がかからないことです。NISAなら、値上がり益や配当・分配金に税金がかかりません。利益が出たときに、差がそのまま残ります。
期間の長短ではなく「利益が出たときに税が引かれない」ことが重要です。
メリット2: インフレに弱い現金偏重を是正しやすい
NISAで株式や債券を含む投資信託などを少し持つと、物価上昇に対して現金だけよりは戦いやすくなります。月3万円のように金額を決めて取り入れると、現金偏重をゆるめられます。
注意点1: 価格変動(元本割れ)のまま取り崩すリスクが上がる
60代から始めると、20代より運用期間が短くなりやすいのは事実です。下がっているときに、お金が必要になって売ってしまう可能性もあります。NISAは当面使わないお金で行うほうが安心です。
注意点2: NISAでも非課税にならないことがある
証券会社の口座でまとめて受け取る「株式数比例配分方式」にしていれば、非課税になります。
しかし、登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式(配当金振込指定)、配当金領収証方式を選択した場合は課税されてしまいます。始める前に、配当金の受け取り設定を確認しておきましょう。
月収15万円のパート収入がある場合の適切な積立金額の決め方
月収15万円といっても、年払いの支出などもあります。積立額は気合ではなく、次の流れで決めるほうがぶれません。
ステップ1:生活防衛資金(現金)を先に決める
積立を続けるには、まず「困ったときの現金」が必要です。生活防衛資金が何ヶ月分あるかで、積立の上限が大きく変わります。目安は生活費の3~6ヶ月分です。
ステップ2:毎月の黒字を出して、その範囲で固定額化
次に、直近3~6ヶ月の家計を見て、毎月いくら黒字があるのかを出します。ここでは年払いを月割りにして入れます。
黒字の範囲内にする理由は、相場が下がったときや収入が減った月でも、売らずに済む可能性が高いからです。
ステップ3:収入の不確実性を積立に反映
防衛資金を3~6ヶ月確保したうえで、黒字の範囲で積立を固定します。シフト減になりやすい、持病がある、親の介護が近いなどの事情があれば、防衛資金は6ヶ月寄りにします。
積み立てを無理なく続けるためのポイント
NISAは利益が非課税でも、損が出たときにほかの利益と相殺できません。だからこそ、家計の設計が先に来ます。
積立額は「平均黒字の50%まで」が1つの目安です。60代は、急に体調が悪くなるなどで臨時支出が発生しやすい時期です。ここでNISAを売ると、値下がり中に損を確定する可能性があります。だから「家計で吸収できる額」が重要になります。
防衛資金は生活費の3~6ヶ月分が目安です。ここが整ったら、自動で積み立てる設定にします。
まとめ
60代のNISA積立は「早い・遅い」より、目的と使う時期で向き不向きが決まります。また、月3万円という金額の大小より、「毎月の黒字の範囲内に収まっているか」のほうが重要です。
まず生活費の3~6ヶ月分を現金で別に置き、そのうえで黒字額内での自動積立の設定をする。この順番を守るだけで、相場が荒れても続けられる家計の土台が整います。無理のない金額でコツコツ続けることが、長い目で見て資産を育てる近道です。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP