NISAで「オルカン×月5万円」積み立て中ですが“暴落が怖い”です…友人は「下落時こそ買いだよ」と言いますが、本当に“追加購入=得”なのでしょうか? 結果をシミュレーション
下落局面をチャンスと捉えて追加購入する場合のメリットとデメリットについて、シミュレーション結果と合わせて解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
オルカンの特長:世界中に分散投資でき信託報酬も安い
全世界株型の投資信託、オルカン。世界中の株式市場に幅広く分散投資できるインデックスファンドです。1本の投資信託で世界の株に分散投資できる点が最大の魅力で、ある国の経済が不調の時に、別の国の好景気が資産の減少を抑えてくれる分散効果が期待できます。
また、市場全体の値動きを示す指数に連動する「インデックス型投資信託」タイプのため、ファンド運用に手間がかからず、信託報酬が安い点も魅力です。
※「オルカン」は、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として商標登録されていますが、ここでは全世界株型インデックス投資信託の総称として使っています。
下落時の追加投資シミュレーション結果
リスク分散型の投資信託でも、当然ながら相場は変動します。もし下落したら追加購入しておくほうが、通常の積立を続けるよりも本当に高い利益を得られるでしょうか?
NISA口座でオルカンを毎月5万円積み立てて、下落局面での追加購入する場合の効果を試算します。前提条件は以下の通りです。
・投資期間:20年
・想定年率リターン:5%
・年率ボラティリティ(値動きの幅):約15%
・分配金:再投資
・信託報酬:年0.05775%
・下落時追加購入ルール:直近高値から10%、20%、30%下落時に、それぞれ10万円ずつ追加投入(最大30万円まで)
結果は、図表1のとおりとなりました。
図表1
筆者作成
毎月5万円を20年間積み立てると、総積立金額は1200万円です。NISA口座のため非課税で、信託報酬分のみ考慮に入れた実質的な年率で複利運用すると、通常積立であれば総額は平均約2040万円(約840万円の利益)となります。
下落時に追加購入しながら運用すると、平均値は2120万円(約920万円の利益)。今回の条件下では、下落時に追加購入するほうが約80万円、割合にして3~4%程度リターンが大きい結果となりました。
「相場下落時こそ追加購入」のメリットとデメリット
「相場が下落した時こそ買い」は、投資の世界では昔から言われてきた言葉です。
相場の下落局面でいわゆる「ナンピン買い」をすることで投資商品の平均取得単価を引き下げ、将来相場が回復・上昇した際により大きなリターンを狙う戦略です。最大のメリットは、下落時に多くの口数を取得できるため、相場が回復した際の資産増加スピードが加速する点です。
例えば、1万円で1000口購入した後、価格が8000円に下落したタイミングで同額を追加購入すれば、平均取得単価は9000円に下がります。株式市場は長期的に右肩上がりで推移するため、安値での購入によって回復時により多くの利益を享受できる構造です。
一方で、デメリットもあります。下落が長期化した場合は損失が拡大したり、資金が枯渇してしまったりするリスクが伴います。特に、相場全体が長期的な下落トレンドに入った場合や、資金管理が不十分な場合には、損失が膨らむ危険性があります。
まとめ
下落局面での追加購入は、市場の回復を前提とした長期で見れば合理的に有利と言えそうです。しかし、その途中経過は決してなめらかではなく、一時的に積立元本割れする場合もあり得ます。
下落局面では、「損失回避バイアス」や「直近効果(最近の出来事を過大評価する傾向)」など、投資家心理が大きく揺れ動きます。下落局面の「底」を当てることは、プロの投資家でも困難です。パニック売りや積立停止、逆に根拠のないナンピン買いなど、感情的な行動が失敗の原因となりやすいです。
下落時の追加購入を検討する際は、追加の限度を自身であらかじめ決めておき、「まだ下がるかもしれない」と思ってもルール通り淡々と買う、追加用の資金は必要時にいつでも使えるように別枠で用意しておく、といった「ルール化」と「資金管理」が不可欠です。
一時的な市場と私情に流されずに運用することが、結果として長期的に恩恵を受けやすくなるでしょう。
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種

