NISAに“毎月10万円”積み立てて「余裕がない」というNISA貧乏の夫。30代で「資産2000万円」あっても“貯金なしで投資だけ”は危ないですよね? S&P500の過去の主な暴落も確認
本記事では、NISAに毎月10万円入れており30代で2000万円あるけれど、貯金がない世帯を取り上げ、どのように資産形成をしたらよいのかなどを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
NISAとは
NISAとは、2014年に開始された、少額投資非課税制度です。イギリスのISAをモデルとしており、日本版のISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)と名付けられました。NISAは2024年1月、大幅に進化してからさらに注目されており、主に老後資金の確保などの目的で利用されています。
NISAでは、1回設定すれば毎月一定額の投資商品を自動購入できます。毎回同じ金額で購入し続けるため、長期間続けることで価格変動のリスクを平準化できるのが大きなメリットです。
NISAでの積み立ては、よい投資商品を選べれば右肩上がりで資産が増えていく傾向があります。「人生100年時代」ともいわれる昨今、NISAは老後資金の確保に適しており、始める人が多いのが実情です。
NISA貧乏という言葉が話題に
最近「NISA貧乏」という言葉が国会で取り上げられ、話題となっています。NISA貧乏とは、主に20代から30代の人が、NISAへの積み立てを優先しすぎた結果、日常生活が圧迫されている状態を指します。
NISAには投資上限額が設定されており、「早く全額埋めないと」と考えてしまうのが、NISA貧乏になってしまう主な原因です。過去、老後2000万円問題が話題になりましたが、「インフレが続いて2000万円では足りなくなる」と思う人もいるでしょう。
特に老後資金は、いくらあれば足りるのかは分からないため、NISA貧乏になってしまう人がいるのも理解できます。
30代毎月10万NISAに積み立てて2000万円あっても、貯金なしでは危ない?
30代で貯金なし、毎月10万円をNISAに積み立てており、合計2000万円ある世帯を例にあげてみましょう。主に夫が資産運用をしていますが、毎月NISAに積み立てすぎて、家計に余裕のないNISA貧乏の状態だったとします。
30代でNISAに2000万円あれば安泰なイメージがありますが、資産運用の目的によって危険かどうかは異なります。金融商品には暴落のリスクがあり、価値が半分程度になる可能性があるためです。経済大国アメリカの主要企業に投資できる、S&P500の過去の主な暴落は次のとおりです。
・2000年頃:ITバブル崩壊→約50%下落
・2008年:リーマンショック→約50%下落
・2020年:コロナショック→約20%下落
株価が約50%下落する場合もあり、暴落前の株価になるまで数年かかっています。老後資金で数十年後に使う予定であれば問題ないケースもありますが、子どもの学費などで数年後に必要な資金があれば、かなりのリスクがあります。
例えば、合計2000万円以上かかる医大に行かせようとしていた場合、暴落してNISAが1000万円になっていたら足りなくなってしまいます。
NISAは、貯金よりも資産運用に有利ですが、全額を入れるのはリスクがあります。数年後に使うお金は暴落の心配がない現金で取っておき、何かあったときの生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金があればNISAで資産運用するのがいいでしょう。
NISAでの資産運用は、早めに始めたほうがいいですが、生活を圧迫してまで枠を埋めようとする必要はありません。老後資金の確保もしつつ、今でしか味わえない家族との幸せな時間に、お金を使うのもいいのではないでしょうか。
まとめ
昨今「NISA貧乏」という言葉が話題になり、積み立てしすぎて生活が苦しくなるケースがあります。「老後が心配」「早く枠を埋めたい」などの理由で積み立てすぎてしまうのが主な原因ですが、老後と現役世代ではできることが異なります。
「もっと若い頃に旅行しておけばよかった」「家族との時間を大切にしておけばよかった」とならないよう、今現在の幸せに投資するのも立派な資産形成といえるのではないでしょうか。
出典
金融庁 NISAを知る
執筆者 : 藤岡豊
2級ファイナンシャル・プランニング技能士