NISAで“第1営業日”を積立日にすると「基準価額が上がって損」!?「投資信託の注文が集中する」と言われてるけど、過去データを踏まえると“迷信レベル”? 積立日のポイントとは
ネット上では「毎月の第1営業日」は避けるべきだとの意見がありますが、どのような理由によるものなのでしょうか。また、積立日によって明確な運用成績の違いは出るものなのでしょうか。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「積立日」によって、明確な運用成績の違いはない
一般に、「毎月の第1営業日」を積立日に設定するのが不利だと言われるのは、以下のような理由で第1営業日に投資信託の注文が集中するため、瞬間的に株価が高騰して「高値づかみ」をしやすいからだとされています。
・クレジットカード積立の決済日が、月初(第1営業日)に集中しやすいから
・「キリが良いから」と毎月の積立日に「1日」を指定する個人投資家が多いから
・月末の手仕舞い売りを経て、新しい月に入ると投資家からの新規資金が入りやすくなるから
いかにももっともな理由に見えますが、実際の過去データに当てはめてみると、そうとも言えない実態が見えてきます。
イオン銀行によると、毎月の積立日を「第1営業日」「5日」「10日」「15日」「20日」「25日」「最終営業日」に設定し、2005年1月1日~2024年12月31日のデータを用い、直近5年(2020年1月1日~2024年12月31日)、直近10年(2015年1月1日~2024年12月31日)、直近20年(2005年1月1日~2024年12月31日)の3つの期間に積立投資をした場合の運用成績を検証したところ、「25日」または「最終営業日」に積み立てるのがよいという結果が出ています。
最も成績が悪かったのは「第1営業日」または「20日」に積立日を設定した場合で、最も成績の良かった結果と比較すると、資産総額でおよそ3%から4%程度の差が開いていました。
このようなデータを見ると、うわさ通りに「第1営業日」は不利な積立日である気がしてきます。しかし、「積立期間」を少しずつずらして検証すると、資産額が最大(または最小)となる積立日がバラつき、必ずしも「25日」がよいわけではないようです。
資産総額が最も多い積立日・最も少ない積立日を集計すると、資産額が最大となった回数が最も多かったのは「最終営業日」で、次いで「25日」となっています。資産額が最小になる回数が最も多かったのは「第1営業日」で、次いで「10日」と「最終営業日」です。
「第1営業日」や「最終営業日」は、資産額が最大になる回数も最小になる回数も多い、資産額の変動が大きい積立日だといえます。資産が増える可能性があるものの、資産が減る可能性も相応にあるというわけです。
20年という長期での統計をとってもこのようなブレが出てくるということは、毎月の「積立日」によって運用成績が大きく左右されるといううわさは、やはり迷信でしかないように筆者には思えます。
積立日に迷うなら、「毎日が積立日」にしてしまう手も
積立日によって運用成績に大差はないと分かっても、どうしても決められず、積立投資に踏み切れない……という人は、思い切って「毎日積立方式」にしてしまうのも1つの案です。
株式市場において1ヶ月の営業日数はおよそ20日ですので、1ヶ月間に積み立てたい金額が3万円なのであれば、3万円÷20日=1500円を毎日積み立てる計算になります。近年はほとんどの証券会社で「毎日積立方式」が選択できますので、設定も容易になっています。
筆者も長年、インデックス型投資信託に積立投資をしていますが、2020年頃のコロナ禍があった時期に「毎月積立方式」から「毎日積立方式」に変更をしました。
当時はコロナ禍によって世界中の経済が混乱し、株式市場が日常的に乱高下する状態になり、自分の設定していた積立日が運悪く相場の高騰した日に当たってしまったことが何度もあったからです。
筆者にとって毎日積立方式に変更した大きなメリットは、特に相場が急落したときに「少額でも、この株価が安いタイミングを逃さずに投資できた」という安心感が得られるようになった事です。
1日あたりの投資額は極めて少なくなるので、実際の投資効果は気休め程度でしかありませんが、「長期積立投資」の基礎に立ち返ることができたと思っています。
長期積立投資は、日々の相場変動や景気の波に左右されず、「平均的なパフォーマンス」を出せることが長所です。その「平均的なパフォーマンス」を最大化してくれるのが、「毎日積立方式」なのではないでしょうか。
「積立日」に迷って投資開始を先送りするほどであれば、「毎日積立方式」に設定して早めに投資を始めてみてほしい、というのが筆者の意見です。
まとめ
代表的なベンチマーク指数である「S&P500」「TOPIX」「MSCIコクサイ」における20年間(2005年1月1日~2024年12月31日)の運用成績を検証してみると、積立投資日の設定において最も成績が良かったのは「25日」または「最終営業日」ですが、これは検証時期が数ヶ月ずれると成り立たなくなり、絶対的な法則ではありません。
設定した積立日によって、投資のパフォーマンスが大きく上下するかもしれない。という迷いを断ち切るには、「毎日積立方式」に設定してしまうことが有効です。
出典
株式会社イオン銀行 タマルWeb 【新NISA】投資信託の積立日は何日がおすすめ?過去データを徹底検証!
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
