更新日: 2020.01.11 その他資産運用

「50・60歳代、自分で運用を考えてみる人」のための投資運用は?

「50・60歳代、自分で運用を考えてみる人」のための投資運用は?
人生100年時代とも言われているように、思ったよりも長生きしそうな時代。私たちを待ち構えているのは「資産寿命を延ばすか」という課題です。
 
収入を増やし、支出を減らすのは、いつの時代にも変わらない原則ですが、少しでもリターンを生む資金運用は、これからリタイアを迎える世代には大切な選択ではないでしょうか。
 
ここでは、50・60歳代となり、老後資金のための投資運用に初めて取り組む人に向け、環境の説明と道先案内をまとめてみました。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

退職時と退職以降に受け取る資金の種類

退職後の老後資金は、毎月受け取る年金と、現金・預金を含む金融資産の二種類です。
年金の種類は次の3つです。
 
(1)公的年金(厚生年金・基礎年金)
(2)企業年金(確定給付年金(DB)、確定拠出年金(DC))
(3)個人年金(iDeCo含む)
 
一方、金融資産は次のようなものです。
(1)退職金(現金受け取り分)
(2)投資運用資産(株式・投信信託・債券・外貨預金)※NISAや積立NISA含む
(3)銀行預金 など
 
70歳以降も仕事を継続する人は多くなっていますが、上記のような老後資金の組み立てが一般的ではないでしょうか。

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老後資金の使用時期別配分

老後は、年金で足りない分を、手持ちの金融資産を取り崩しながら25年~35年を過ごすことになります。2019年には、この取り崩し分が2000万円必要となることが、大いに物議をかもしました。
 
取り崩し分がいくら必要かは別にして、貯めてきた老後資金をどのように取り崩し、運用するかは、本当に大切なことです。
 
一般的に、老後資金は使用時期を考えて三分することが有効であるとされています。それは短期資金(1年以内)、中期資金(1年~5年)、長期資金(5年以上)の3区分です。
 
短期資金は流動性と安定性、中期資金は安全性、長期資金はリスク許容度を十分考慮した収益性を考える必要があります。

長期資金の運用が必要な理由

長期資金も含めて、全て安全資産で保有するのがベスト、という考え方もあります。しかし、90歳以上まで生きるのが普通の時代になりつつあるだけに、長期資金についても、安全第一を考えながらも、その運用を考える必要のある時代を迎えたと言えるでしょう。
 
長期資金も運用して、最低限の運用益があった方がよい、その背景は以下のとおりです。
 
・物価上昇の可能性
日本の消費者物価は、1999年以降の20年間、2014年(消費税改定年)を除いてマイナス、または、ほぼ横ばいで推移してきました。
 
ただ、今後の20年~30年を見た場合は、政府・日銀の物価上昇政策もあり、年平均0.5%~2%程度の物価上昇の可能性も強いでしょう。物価上昇率に見合って、家計費が増えるのが普通ですから、仮に毎年0.5%上がるとすると、20年後は9.9%増となります。
 
夫婦2人の標準的な年間家計費は300万円程度になっていますので、20年後はおおよそ年330万円になります。20年間の物価上昇分を合計すると約300万円になります。
 
なお、物価上昇を平均1.0%と見た場合は、20年後は年362万円となり、物価上昇分で約600万にもなります。
 
・公的年金のマクロ経済スライドの適用
平成16年の制度改正によって導入された「マクロ経済スライド」が本格的に適用されれば、公的年金が減額される可能性もあります。
 
マクロ経済スライドの仕組みとは、物価や賃金が上昇した場合でも、その上昇率の全てを年金の給付額に反映せず、一部を差し引いて、将来の年金給付額の原資とするものです。
 
このような背景から、上記の長期資金の一部は運用益を少しでも確保して、支出増に備えることが必要ではないでしょうか。
 
中長期の家計の収支は、個人ごとに異なりますので、25年程度(65歳から90歳)の家計の収支を見るキャッシュフロー表を作成して試算をしてみるのもおすすめです。

運用の対象と目標

運用の対象として考えられるのは、個別銘柄株式・債券と、投資信託(ファンド)です。
なお、投資商品としてよく聞かれる投資信託とは、国内外の個別銘柄株式・債券の中から、ファンドごとに決めた投資方針(業種・国・企業の成長度など)に沿った株式・債券に投資して運用成果を分配する仕組みです。
 
金融資産の運用には、いろいろな目標がありますが、ここで目指すのは、物価上昇分を織り込んだ「生活費プラスアルファ」です。そのため、安全で堅実な経営方針の株式やファンドを選ばなければならないでしょう。
 
0.5%~2%の物価上昇を想定しましたので、これを超える2.5%~5%程度の運用益を目標にするのがひとつの考えかと思われます。そのために何をすればよいのでしょうか。

投資運用の学習

目標として、6ヶ月から1年間は、投資運用の学習をするのはいかがでしょうか。株式投資、投資信託、J-REIT、外貨預金など一通りの金融商品について、さまざまなスクールやコース、無料セミナーがあります。
 
1年間は、学習しながら最低限の金額で投資運用を実践してみることです。株式も投資信託も今は数万円から購入可能です。
 
1年間の投資運用の成績を分析して、2年目からも「分散」「安全」の基準を外すことなく運用を行えば、投資についての基礎力がつくことでしょう。本格的な運用は3年目から、それも専門家(FP)などのアドバイスも受けるのがベターと思われます。

まとめ

日本の個人金融資産の保有は、預貯金が圧倒的に多く、一方、アメリカやヨーロッパ諸国は投資信託や株式の構成比が高く、配当や評価益で個人の資産増への貢献も大きくなっています。
 
個人がしっかりと金融商品について知識を持ち、資産運用をすることは、家計にもプラスとなります。健全な投資・運用の考えが広まることは、個人にとっても、国や経済界にもプラスとなるのではないでしょうか。
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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