更新日: 2020.06.08 その他資産運用

国債を知れば、金利の意味が分かる

国債を知れば、金利の意味が分かる
「お金を貯めたい。でも、金利が低くて、どこに預ければいいか分からない」。「お金を預けるとき、どの金融商品を選べばいいか分からない」。
 
お金を貯めようと思っても、必要な情報や知識を身につけなければ、お金は貯まりません。目的を決め、そのためにどうすればいいかというリテラシー教育やインテリジェンスを育むことが必要です。今回は国債という切り口から、金利について解説していきます。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

国債と金利の関係

お金を貯めようと思う場合、安全資産から攻略していくのも1つの方法です。安全資産の代表的な例としては、普通預金や定期預金、積立定期などの預貯金があるでしょう。しかし、金利が低いため、他の金融商品を探してみると、学資保険や個人年金保険など貯蓄性のある保険を見つけたりします。
 
ここまでは一般的でしょうか。さらに探してみると、個人向け国債や節税が認められている確定拠出年金制度の活用などがあります。深く入っていけばいくほど、その仕組みは複雑になり、理解するのに時間と労力がかかります。
 
ここがマネーリテラシーの分岐点で、お金を貯めたいのに貯まらない状況に甘んじるか、その域から少しでも脱するかは、ここにかかっています。預貯金や学資保険、個人年金保険は、比較的身近な金融商品であるため、多くの方が仕組みをある程度理解していると思われます。
 
しかし、個人向け国債となると、よく分からないと思う方は多いのではないでしょうか。現に、個人向け国債ができてからかなりの年月が経ちますが、いまいち浸透していないことを考えると、知ろうとするに値しないと多くの方が感じているのかもしれません。
 
結論をいうと、現状では、個人向け国債を始めるならネット銀行で定期預金を組む方が良いと判断できますが、個人的には、個人向け国債はやらないにしろ、国債について理解しておく必要があると考えています。
 
なぜならば、国債は、金融リテラシーを身につけるうえで必要不可欠な材料を提供してくれるからです。国債は、簡単にいうと、国の借用証書です。国が誰かに「お金を貸してください」といいます。そして誰かがお金を貸します。そのときにやり取りされるのが借用証書である国債です。
 
国債には2つの側面があります。1つは価格、もう1つは金利です。例えば、私たちが国にお金を貸そうということで、国債を購入するとします。そのときに、1万円を払って国債を購入します。これが額面金額、つまり、元本の金額になります。
 
購入した私たちは、国債を買ったところで、金利がつかなければ何の得にもなりません。国としては、お金を貸してくれたお礼に金利をつけ、満期になると利息を含めてお金を返してくれます。
 
国債を買うということは、別の表現をすると、私たちが銀行のような商売をするということです。貸金業者に私たちがなるという意味です。
 
お金を貸して、利息収入を得る。これが貯蓄方法としての国債利用です。ここで大事なのが、価格と金利の関係です。国債はマーケットで流通する金融商品であるため、日々、売買されています。このため、価格と金利には一定の関係が存在します。
 
国債の価格が上がると、金利は下がり、逆に、国債の価格が下がると、金利は上がるという法則です。いわれてみれば当たり前のことですが、国債の価格が上がるとは、お金を貸したいという人が増えるという意味です。
 
借り手である国としては、借りたくないと思っている状態です。国としては、これといってお金を必要としていないため、高い金利をつけようとしません。このようなことから、国債の価格が上がると、金利は下がっていきます。
 
これとは反対に、お金を貸したいと思う人が減ると、国債の価格は下がっていきます。
 
お金を貸してほしいと思っている国としては、高い金利を付けてでもお金を借りようとします。このような状況で、国債価格は下がり、金利は上がっていきます。国債に付される金利を利回りといいますが、この利回りが、私たちの目にする預金の金利や住宅ローンの金利に影響を与えています。
 
例えば、銀行は、国債を購入し、住宅ローンの借り手に資金を貸し出します。銀行としては、国債の利回り(金利)<住宅ローンの金利でなければ利益が生まれないため、住宅ローンの金利は必然的に国債の利回りを上回るように設定されます。
 
これが分かっていると、国債の価格が下がっています⇒国債の利回りが上がっています⇒住宅ローンの金利は近々上がるだろう、と推測できます。
 
逆に、国債の価格が上がっています⇒国債の利回りが下がっています⇒住宅ローンの金利は近々下がるだろう、と予測することができます。
 
かなりはしょって説明しましたが、国債についてはおおよそこのような関係性を理解しておくだけで十分かもしれません。

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まとめ

お金を貯めるということは、裏を返せば、金融を知るという意味でもあります。
 
金利が低い状況が続いている。なぜ、金利が低いのか。他に預け先はないものか。他の預け先も利回りが悪い。なぜ、貯蓄・運用環境が悪いのか。
 
このようなことを少しずつ自分なりに深堀していくと、おのずと自分の貯蓄・運用スタンスをどのようにすればいいかを判断することができるようになります。
 
金融を知るのは簡単ではありませんが、少しずつ理解しながら自分の身にしていきましょう。お金を貯めるために、ゆっくりでいいので、しっかりと基礎的な理解を身につけるようにしましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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