更新日: 2020.11.05 NISA

つみたてNISAは、結局、「長期投資」・「難平買い」・「るいとう」。一体どういうこと?

執筆者 : 重定賢治

つみたてNISAは、結局、「長期投資」・「難平買い」・「るいとう」。一体どういうこと?
つみたてNISAは、個人的にはかなり難易度の高い運用が強いられる投資になるだろうと考えています。
 
このため、ファイナンシャル・プランナー事務所を運営してはいますが、私自身、つみたてNISAを活用した資産運用は行っていません。至って普通の投資を行っています。
 
老後のお金のご相談などで、この理由について話をする機会がありますが、やはり理解してもらうのが難しいと感じています。なぜならば、昔の人には当たり前のことでも、それが今、言葉を変えて目の前に現れると、どうしてもその新しい言葉に引っ張られてしまうからです。

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重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

「難平買い」と「るいとう」

つみたてNISAについて、昔から投資をしてきた人と話をするときに「超長期」で「難平(なんぴん)買い」を継続する「るいとう(累投)」と説明すると、一瞬でピンときてくれます。「超長期」は、つみたてNISAの非課税投資期間が最長20年間であることを指しますが、「難平買い」の継続はドルコスト平均法、「るいとう(累投)」は積立投資を表しています。
 
超長期の意味は分かると思いますが、「難平買い」や「るいとう(累投)」は、今では日常的に使われる言葉ではないかもしれません。
 
「難平買い」は例えば、株価が下がったら買うといった下値拾いに着目した買付方法です。今ではドルコスト平均法がそれに近い理屈として語られていますが、ドルコスト平均法は定期的に一定の金額の買い付けを行うことで、結果的に購入価格を平準化することを目的としています。
 
このため、例えば投資信託の基準価額が上がっても下がっても、定期的に買い付けを行うことになります。
 
ドルコスト平均法では、相場が上昇トレンドを描くようなときは非常に有効であるといえますが、逆に下降トレンドを描くと、ひたすら損失が出てしまいます。この意味で、下降トレンドにおいて「難平買い」を繰り返してしまう状況と似ているため、昔から投資を行っている人にとっては「難平買い」の継続という表現が分かりやすいのかもしれません。
 
また、「るいとう(累投)」については昔からある積立投資を表す言葉ですが、昔の人にとっては積立投資といわれるよりも「るいとう(累投)」といわれた方が内容も含めピンときやすいように思います。
 
今でも投資用語としては使われますが、「るいとう(累投)」は、例えば投資信託を購入するときに結ぶ「累積投資契約」を略した言葉です。これは簡単にいうと、毎月一定の金額を積み立てのように投資していく契約です。このため、「るいとう(累投)」≒「積立投資」でピンとくるわけです。
 

昔の人がつみたてNISAに魅力を感じない理由

投資を昔から行っている人は、「超長期」で「難平買い」を継続するような「るいとう(累投)」は資産運用としては難易度が高いことを知っています。なぜならば、機動的に売買を行うことが難しくなるからです。
 
投資は下値で拾い、高値で売るのが一般的に理想的なパターンとされます。しかし、タイミングを読み、的確にそれを実行するのは難しいので、さまざまな売買手法が昔から工夫されてきました。
 
その1つが「難平買い」ですが、難平買いは下降局面が長く続くときに行ってはいけない買付方法で、これを選択する場合は同時に損切りも念頭に置きます。
 
つまり、昔の人は投資や資産運用を現実的にはばくちと捉え、その本質は人の心理にあることを理解していました。
 
それが今ではシステマチックになり、また論理的な売買方法が優れているとされ、言葉までもがどこかスマートな響きを持ち、投資や資産運用はばくちではないとされるようになりました。
 
確かに投資や資産運用は、ある目的に対して資金を拠出するという意味ではばくちではありません。しかし、イチかバチかという点では不確実性の伴うばくちといえます。このため昔から日本人は、不確実性を和らげるためにテクニカル分析で今でも使われるローソク足や酒田五法、一目均衡表などの投資理論を編み出してきました。
 
そして昔から投資をしている人は、これらを活用し、短期・中期・長期に応じた期間の分散を図りながら、さまざまな資産に資金を分けて資産運用を続けています。
 
投資や資産運用は不確実性が伴うので、売買の自由度を確保することは非常に大切なことです。このため、投資期間の長短にかかわらず、いつでもポジション取りを変更できる態勢を整えておくことが求められます。
 
「るいとう(累投)」をすると、投資スタンスが長期買い入れ継続にロックオンされてしまうため、必然的に自由なポジション取りを行うことが難しくなり、仮に相場の局面が変化した場合、余計に利益を追ってしまったり、損失を確定させることが心理的に困難になります。
 
このようなことを昔から投資をしている人は経験則に基づき知っており、だからこそ、つみたてNISAで投資を行うことにそれほど魅力を感じないわけです。
 

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まとめ

長期投資を行うには、長期投資を行うなりの方法があります。それは、運用状況の把握と見直しです。そして、これを継続することに長期投資の最大の利点があります。つまり、長期投資は「継続投資」と言い換えることができます。
 
継続投資。投資の継続に向けて、銘柄を物色し、資産を配分し、時間を分散させ、買付方法を工夫する。
 
これが全て成ったとき、初めて、昔から投資をしている人が目指している資産運用の醍醐味を感じることができます。
 
つみたてNISAは、あくまでも超初心者向けに設けられている、資産運用に興味を持ってもらうための税制によるバックアップです。新しい言葉や聞いたことのないフレーズが並べられ、あたかも受け手にスマートな印象を与えるワードがちりばめられていますが、昔の人にとっては何のことはない「超長期、難平買い、るいとう(累投)」が運用の前提になっています。
 
大切なことは昔から変わりません。新しいことは、つみたてNISAが単に税制を活用して、国が資産運用の後押しをしてくれる制度であることのように思います。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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