転職するなら「地方派」47.0％「都心派」53.0％。地方と都心の居住費・給料の違いについてFPが解説！

地方と都市部のどちらに住みたいかは、人によって意見が大きく分かれるところでしょう。転職が珍しくはない昨今では、住みたい場所に合わせて転職するという方もいるようです。

そこで、転職について地方と都心、それぞれの違いを収入や生活費などの面から見ていきます。

執筆者：柘植輝（つげひかる）

行政書士

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２級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、２級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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1 転職は地方と都心のどちらがいい？
2 地方と都心、実際に生活費や給料に違いはある？
3 地方から都心へ、都心から地方へ転職する場合の注意点
4 移住を伴うような転職は慎重に検討を

転職は地方と都心のどちらがいい？

株式会社ビズヒッツが2021年8月に行った「転職するなら都心と地方どちらがいいかに関する意識調査」（調査対象：全国のビジネスパーソン500人）によると、『「都心」と「地方」どちらに転職したい？』という質問では、都心が全体の53％、地方が47％と同じくらいの回答となり、大きな差はありませんでした。

地方派の意見は？

地方に転職したい理由としては、「通勤が楽だから」「生活費が安いから」「人が少ないから」など、地方ならではの回答が多くみられました。

【図表1】

出典：株式会社ビズヒッツ「転職するなら都心と地方どちらがいいかに関する意識調査」

都心派の意見は？

転職するなら都心という方では、「求人が豊富だから」「交通が便利だから」「給料が高いから」といった理由が多くなっています。

【図表2】

出典：株式会社ビズヒッツ「転職するなら都心と地方どちらがいいかに関する意識調査」

地方と都心、実際に生活費や給料に違いはある？

地方に転職したい理由の1つに生活費、また都心の場合では給料が挙がっていたことから、多くの方が地方は生活費が安く、都心は給料が高いと考えていることが分かります。

この点について、総務省統計局の「全国家計構造調査」（2019年）を基に、都心（東京都）と一部の地方で勤労者世帯での1ヶ月当たりの収入（勤務先収入）と実支出の平均を比較すると、基本的には都心は収入は高いが支出も多く、地方では収入は低いが支出については少ないという傾向があるようです。

【図表3：1ヶ月当たりの平均収入と実支出（単位：円）】

	北海道	東北地方	北陸地方	中国地方	九州地方	沖縄県	東京都
勤務先収入	343,151	384,816	402,615	378,028	362,475	299,905	424,355
実支出	297,050	328,778	317,564	317,869	310,791	276,141	325,895

※総務省統計局　「2019年全国家計構造調査」より筆者作成

地方から都心へ、都心から地方へ転職する場合の注意点

地方から都心へ、あるいは都心から地方へと移住するような転職となる場合、転職前のイメージどおりとはならないこともあるので注意も必要です。

安易に都心や地方に移り住むと、理想と現実とのギャップによって転職を後悔してしまうことにもなりかねません。具体的には次のような点が挙げられます。

都心なら必ず給与が高い、地方なら生活費が安いとは限らない

基本的に都心は給与が高く、地方は居住費など生活費が安いという傾向はあるものの、必ずしもそうとは限りません。平均給与には地域差もありますが、何より勤務先による部分が大きいため、都心の会社よりも地方の会社の方が給与が高いということもあります。

また、例えば地方では車が必須となる場合も多く、ガソリン代や税金、保険料などの維持費がかかるほか、チェーンのスーパーや飲食店、コンビニは基本的に全国どこでも価格が統一されていることなどを考えると、地方だからといって生活費が安くなるとはいい切れません。

地域の付き合いなど習慣や文化の違い

都市部と地方とでは、生活する上での習慣や文化が違うこともあります。例えば、都市部では近隣との付き合いが少ない地域もありますが、地方では町内会への参加を求められるなど、地域のつながりを重視している場合もあるでしょう。

転職に伴い、地方または都心に移住するのであれば、地域ごとに生活文化などには違いがあることも覚えておくべきです。

転職で変化した環境も慣れれば日常になる

調査の回答にあるように、「心にゆとりが持てるから」「自然があるから」といった理由で地方に転職しても、しばらく住んで慣れてしまえば、特に心のゆとりを感じられなくなったり、自然よりも生活環境の不便さが目立つようになったりする可能性もあります。

同じように「都心の方が刺激的だから」と転職した場合でも、それが日常となれば飽きてしまうこともあるでしょう。