更新日: 2023.06.08 キャリア

資格取得大失敗! 累計100万円以上、通信教育教材につぎ込んだ男性の後悔

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

資格取得大失敗! 累計100万円以上、通信教育教材につぎ込んだ男性の後悔
会社勤めをしていて、将来やキャリアについて悩む人は多いだろう。そのなかで、一度ハマると容易には抜け出せないのが、「キャリア沼」ではないだろうか。転職、独立、出世など思い描くキャリア感が多種多様であるからこそ、思い悩み始めるとゴールするまでに時間がかかり、失敗を重ねるケースもある。
 
さらにキャリアを形成するために、スキルや資格の取得を目指す人も少なくない。ただ目的もなく、むやみやたらと資格に手を出してしまうと、まったくの「無駄金」を支払うリスクが高まる。
 
20代で計100万円以上のお金を投じたものの、現在のキャリアにはほとんどつながっていないと語るAさん(33歳)に、当時を振り返ってもらった。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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公務員になってキャリアをリセット! は無謀すぎ?

Aさんのキャリアは、22歳のときに農業関連資材の営業でスタートしたが、そのときにはすでに「キャリア沼」にハマっていたという。
 
「元々は出版社に就職したかったのですが、就活で全て落ちしてしまい、渋々、地元の企業に就職しました。正直、コンプレックスの塊でしたね。だからこそ、公務員になって安定した職に就き、人生をリセットしたいとずっと考えていました。そこでまず、投資したのが地方公務員(市役所)の合格を目指す通信教育ですね」
 
およそ8万円と比較的安いものの、当時、Aさんの月収は手取りで約13万円。1年目から支払うには、かなり思い切る必要があったという。その成果もあり、地元の自治体の筆記試験には合格した。しかし、面接を突破することができず、2年目も同じ結果だった。その結果、Aさんは「こじらせてしまった」という。
 
「もう、悩むどころか『なんとかして現職を離れたい』という気持ちしかなかったと思います。そこで同じ公務員である教員になるために、通信教育の大学に通うことを決めたんですよ」
 
Aさんの両親は教員だったこともあり、大学に入るまではAさんも教員を目指していた。しかし、教職課程で挫折してしまい、教員免許を取得することなく卒業していた。
 
通信制で私立大学の教職課程にかかる費用はさまざまだが、Aさんの場合「社会」「地理歴史」「公民」で計25万円程度だった。もちろんAさんは、支払ってからしばらくはキチンと学び続けたという。しかし、新卒入社から3年目を迎えたある日、取引先から「ウチに来ないか」と声をかけられたことがきっかけで、転職を決意し地元を離れることになったという。
 
「転職した瞬間、教員になる気持ちが一気になくなってしまったんですよね。結局、課題どころか教科書すら開くこともなくなりました。まさに、歴史は繰り返すという結果になりましたね(笑)」
 

■Aさんが新卒入社から3年目までに支払った「勉強代」

・市役所合格を目指す通信講座:約8万円
・教員免許取得を目指すための学費:約25万円

 

国家資格の「沼」にハマる

転職した後も、Aさんのキャリアは定まらなかった。営業職を続けながらも、初年度からまた資格取得にお金を投じ始めたという。
 
「感覚的には、新卒入社した会社と一緒ですね。多分、転職したいけど自分には何もないことが分かっているので、せめて『箔(はく)』をつけたかったのだと思います。しかも、転職を繰り返す度に『重症化』していったんです」
 
それから約5年間、Aさんは社会保険労務士、行政書士、中小企業診断士の資格取得を目指して通信教育を受講。かかったおおまかな費用は以下の通りだ。
 

■Aさんが4~8年目までに支払った「勉強代」

・社会保険労務士:約18万円
・行政書士:約16万円
・中小企業診断士:約30万円

公務員試験や教職課程と合わせると、合計105万円。もちろん、全てが中途半端で試験すら受けなかったという。
 
「無駄なお金も経験の一つといいますが、さすがにやりすぎですよね(笑)。目的がない勉強や資格の取得は損するとはよく耳にしますけど、まさにその通りだと思います。私みたいにドツボにハマる前に、まずはお金を払ってでもキャリアに関する考え方そのものを学ぶことが、将来的なキャリア形成にかける時間・費用的なコストを削減できるのだと思いますよ」
 

まとめ

現在、Aさんは自営業で編集・ライター業を営んでいる。実はAさんは副業のライターを22歳から独立するまでずっと続けており、結果的にキャリアに直結しているという。
 
「お金を払うどころか、わずかながらでもお金をもらいながら続けてきたことが、キャリアの軸になっているのは皮肉というか、なんというか(笑)。でも、私が元々やりたかったことともつながっていますし、学ぶべきもモノなどは意外と新しい知識や情報だけではないのかもしれないと考えています」
 
キャリア形成にお金を投じるのは、やはり目的をはっきりとさせ、計画することが重要ということが、本記事からも十分お分かりいただけたことだろう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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