新卒1年目で退職する人が必ず覚悟すべきリスク。「6割以上」の人は正社員に復帰できていない!?
配信日: 2023.11.05
統計上は、おおむね「6~7人に1人」の新卒者が、就職後1年以内に離職しています。
しかし、就職後1年未満で離職すると、さまざまなデメリットを被るリスクがあります。就職後1年未満に離職すると、なかなか正社員として再就職できず、非正規雇用に甘んじる若年者が多い現実は、必ず押さえておきましょう。本記事で、解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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1年以内に辞める新卒は再就職で苦労する
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、令和4年3月に学校を卒業して就職した者のうち、1年間の離職率は下記のとおりでした。
・高卒:17.8%
・短大等卒:19.2%
・大卒:12.0%
おおむね「6~7人に1人」の新卒者は、就職後1年以内に離職していることが分かります。
また、厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査の概況」によると、初めて勤務した会社を辞めた理由の上位4つは下記のとおりでした。
・労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった:30.3%
・人間関係がよくなかった:26.9%
・賃金の条件がよくなかった:23.4%
・仕事が自分に合わない:20.1%
実際に就職してみたものの、労働時間や休日などの条件に不満を感じ、離職してしまう新卒者が多いことが分かります。就職前の情報と就職後のリアルで齟齬(そご)が生じ、不満を感じてしまうケースが多いと考えられるでしょう。
なお、独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料によると「初めての正社員を1年以内に辞めた人のその後の状況」は下記のとおりでした。
・正社員として働いた:男性が39.1%、女性が32.1%
・正社員以外の雇用形態で働いた:男性が46.2%、女性が54.6%
新卒として入社後、6割以上の方は正社員としての再就職を果たせていません。なお、勤続期間が「1年超3年以内」になると、結果は下記のようになります。
・正社員として働いた:男性が53.4%、女性が36.8%
・正社員以外の雇用形態で働いた:男性が29.5%、女性が43.5%
1年を超えて勤務した場合、正社員として再就職できる割合が多少は上がっていることが分かります。とはいえ、新卒3年以内で離職した場合、正社員としての再就職を目指す際に苦労する可能性がある点には留意する必要があるでしょう。
正社員の復帰は厳しく、賃金も伸びない悪循環
1年以内に離職した新卒のうち、約6割は正社員として復帰できていません。非正規雇用は正社員と比較すると、身分保障や福利厚生の手厚さが劣るため、安易に離職するとその後のキャリアに悪影響が出るリスクを覚悟する必要があります。
実際に、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、雇用形態別の賃金(月収)を比較すると下記の結果が得られています。
・~19歳の正社員:18万5000円
・~19歳の正社員以外:17万100円
・20~24歳の正社員:22万1000円
・20~24歳の正社員以外:19万6200円
上記のように、正社員と正社員以外を比較すると、正社員のほうが収入は高いことが分かります。月収だけでなく「正社員はボーナスあり、正社員以外はボーナスなし」という勤務先であれば、収入の差はますます広がるでしょう。また、不景気になったときに非正規雇用は切られやすいため、失業のリスクも高まります。
もし新卒として1年以内に「辞めたい」と感じたら、キャリア面でも収入面でもデメリットを被る可能性が高い点に留意しましょう。
ただし、「心身を壊してまで、無理して働く」必要はありません。もし心身を壊してしまうと、最悪の場合うつ病などの精神疾患を発症してしまう恐れがあるためです。
そのため、もし「今の職場を辞めたい」と考えている場合は、できるだけ正社員雇用を継続できるような工夫を行いましょう。具体的には、在職中から転職エージェントと面談するなど、情報収集することをおすすめします。
まとめ
新卒として入社した後1年未満で離職してしまうと、正社員としての再就職に苦労する必要があります。正社員での再就職がかなわずに非正規雇用での就労に甘んじると、収入や福利厚生の面で不利です。リーマンショックやコロナショックなどの経済ショックに見舞われると、失業するリスクも高まるでしょう。
もし就職後1年が経過する前に「辞めたい」と感じている場合は、その後の現実を踏まえることが大切です。必要に応じて、転職エージェントの利用などを検討してみましょう。
出典
厚生労働省 新規学卒者の離職状況
厚生労働省 平成30年若年者雇用実態調査の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成 II
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー