少子化の今「新卒採用」はどれだけ難しい? 2024年の出生数は「70万人割」で過去最低!? 今後の「人事採用」はどうなっていくのか

配信日: 2025.02.06

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少子化の今「新卒採用」はどれだけ難しい? 2024年の出生数は「70万人割」で過去最低!? 今後の「人事採用」はどうなっていくのか
日本総研の調べによると、2024年1月~12月における日本の出生数は68.5万人と70万人を割り込み、統計を取り始めて以来最低となる見込みとなって大きな話題になりました。
 
少子化に歯止めをかけられない今の時代において「若者」はそれだけで貴重であり、企業にとっては「新卒採用」は年々厳しさを増しています。
 
本記事では、2024年における「新卒採用」の状況を確認するとともに、今後の採用人事はどうなるかの予想について考えてみます。
山田圭佑

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

2024年、「新卒採用」の状況はどうだった?

2024年3月に、東京商工会議所が発表した「2024年新卒者の採用・選考活動動向に関する調査」によると、2024年新卒者の採用計画人数に対する充足率(計画している内定者数をどれだけ確保しているかの率)が100%以上であると回答した企業は全体の14.5%にとどまりました。
 
逆に充足率50%未満と、予定されていた内定者数の半分も新卒学生を確保できなかった企業は41.5%にのぼります。2023年の同じ時期に行われた調査では、充足率50%未満の企業は33%であったことから、急激に新卒者の確保が困難になってきている様子がうかがえます(図表1)。
 
図表1

図表1

東京商工会議所の資料より抜粋
 
同じ調査からは他にも、以下のようなことが読み取れます。
 

・採用する側の企業の行動として採用・選考活動の長期化が起きている
・新卒採用数を増やす予定である企業が3割近くある
・内定、内々定の辞退をする学生が多く、2割以上の企業では内定・内々定者の半数以上が採用辞退をしている

 
いずれも今後、企業における「新卒採用」が今まで以上に困難になることを示唆する結果になっています。少子化が進んでいることも手伝い、残念ながら将来に「新卒採用」の状況が改善することは考えにくいでしょう。
 

少子化が止まらないまま、今後の「人事採用」はどうなっていくのか

筆者は沖縄県でキャリアコンサルタントとして活動しており、地元中小企業の人事採用担当者と話をする機会が多くありますが、担当者は「最近は若い人が全く採用できない」と口を揃えます。そして、今後のさらなる状況悪化を心配しています。
 
多くの人事関係者が心配していることに、「おそらく半永久的に『新卒者数』は急激に減り続ける」というものがあります。日本の出生数の推移を見ていくと、現在の新規学卒者の減少幅は、将来に起きるだろう減少幅よりはまだましな状況であることが確定しているからです。
 
端的な例を挙げると、2024年においての日本の出生数は約68.5万人となる見込みに対して、新成人(18歳の人)の数は約106万人です。これは、今後18年間で新成人の数が現在から106-68.5=37.5万人、割合では約35%も減少することを示しています。この数値は、そのまま「新卒採用」の対象となる人数の減少幅に直結します。
 
このような状況下においては、企業は「新卒採用」だけでなく、企業人事全体の体制を見直していく必要に迫られていくでしょう。具体的には以下のような現象が起きると、筆者は予想しています。
 

・新卒一括採用から、中途採用・シニア採用などへのシフトが起きる
・採用時期を定めない、通年採用が一般化する
・採用対象の拡大(大卒以上のみ→高卒も可、など)が起きる
・時短勤務、リモート勤務、副業可能など、フレキシブルな働き方が一般化する
・中小企業の淘汰・統合が活発に起きる
・業務全体の省人化(従業員の必要人数を減らす)が起きる
・「社員を雇わない」形での業務割合が大きくなる

 
新卒者確保のために初任給を大幅に引き上げるなどの対策をする大企業もありますが、多くの中小企業は追随できないため、人材確保や事業継続にむけて手探りで工夫を続けています。今後は企業の採用業務、ひいては「人が働く場所」にどのような変化が起きるか、注目していく必要があるでしょう。
 

まとめ

日本の少子化は加速しており、2024年の出生数は70万人を割り込む見込みとなりました。2024年の新成人数は106万人であったことを考えると、今後18年間で「新卒採用」の対象となるだろう学生の数は、現在から35%以上減少することが確定しており、将来に企業が「新卒採用」で職員数を確保することはますます困難になると思われます。
 
少子化が進行する社会では、企業は「新卒採用」だけでなく人事全体、ひいては事業内容全体を見直していく必要に迫られます。今後、日本企業における人の雇い方、働き方にどのような変化が起きるのか、注意していく必要があるでしょう。
 

出典

東京商工会議所 2024年新卒者の採用・選考活動動向に関する調査
日本総研 Research Eye 少子化研究シリーズNo.13
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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