2018.09.26 家計

ご存知ですか?うつ病は自立支援医療機関に通院すれば自己負担が1割になります

うつ病などのメンタル不調を訴える社員は珍しくありません。人手不足で業務の合理化、効率化が進む中、しわ寄せが30代の社員などにのしかかっています。働き盛りの30代~50代では、仕事だけではなく教育費、住宅ローンなどお金の心配も抱えています。子育て、家族サービスなどにも追われ、家庭も休息できる場所ではなくなっています。
 
このような状況で、うつ病になり医療機関への通院、服薬をしながら働いている方も少なくないでしょう。通院、服薬が長期になれば経済的負担も重くのしかかってきます。そんなときに利用したいのが、通院、服薬の自己負担が1割になる「自立支援医療」です。
 

自立支援医療とは

自立支援医療には、「精神通院医療(主に精神疾患の方が対象)」「更生医療(主に成人で身体的な障害がある方が対象)」「育成医療(主に未成年で身体的な障害がある方が対象)」がありますが、ここでは「精神通院医療」について解説します。
 
自立支援医療(精神通院医療)は精神疾患で通院による継続的な治療を受ける方の負担を軽減するしくみです。医療機関で治療を受けた場合には健康保険などの医療保険が適用され、自己負担は通常3割です。治療費が1万円であれば患者本人は医療機関の窓口で3,000円支払うことになります。
 
自立支援医療での自己負担は1割で済みますので、治療費が1万円であれば、患者本人の負担は1,000円で済みます。経済的負担が軽減されます。なお、入院については対象外です。
 

対象となる方

何らかの精神疾患により、通院より治療を継続することが必要な方が対象です。
 
統合失調症、うつ病・躁うつ病などの気分障害、不安障害、薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、強迫性人格障害など「精神病質」、てんかん、認知症など、対象となるのは全ての精神疾患です。
 

軽減を受けるには自立支援医療機関に通院することが必要です

自己負担の軽減を受けるには、各都道府県知事や政令市長から指定を受けた「自立支援医療機関」に通院することが必要です。
 
さらに、指定を受けていればどこでも良いわけではなく、「自立支援医療受給者証」に記載された医療機関や薬局に限られますので注意してください。なお、医療機関や薬局は「自立支援医療受受給者証」を申請するときに、申請書に記載します。
 

軽減が受けられる医療の範囲

外来での診察や投薬・処置、薬の処方、デイケア、訪問看護等が対象です。
 
入院医療の費用、公的医療保険が対象とならない治療・投薬などの費用(例:病院や診療所以外でのカウンセリング)、精神疾患・精神障害と関係のない疾患の医療費などは対象になりませんので注意しましょう。
 

1割負担に上限額が設定されています

1か月当たりの負担には、世帯の所得に応じた上限が設けられています。世帯は住民票の世帯とは異なり、違う医療保険に加入している場合は別世帯になります。
 
例えば、精神通院医療を受けている本人が健康保険加入者で、同居の両親が国民健康保険の場合、本人だけの所得で上限額が判定されます。ただし、上限が設定されるのは、区市町村民税が235,000円未満の場合で、自己負担額の上限は0円~1万円となっています。
 
区市町村民税が235,000円以上の場合は、原則として、本制度の対象外ですので留意しましょう。ただし、高額治療継続者(「重大かつ継続」)に該当する場合は、例外的に対象となり、区市町村民税が235,000円以上でも2万円の上限が設定されています(平成33年3月31日までの経過措置)。なお、精神通院のほとんどは「重大かつ継続」に該当します。
 
「自立支援医療」に加え、東京都の場合は、区市町村民税世帯に対して医療費助成制度がありますので、自己負担が0円となります。
 

申込方法や利用方法

お住いの区市町村の担当窓口(障害福祉課、保健福祉課など)に申請します。自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書、自立支援医療診断書(精神通院)、医療保険の加入関係を示す資料、「世帯」の所得状況等が確認できる書類などを提出します。
 
認定されると、申請から2~3か月後に「自立支援医療受給者証(精神通院)」が本人に交付されます。さらに、自己負担月額が設定されている方には「自己負担上限管理表」が交付されます。申請手続後、受給者証の交付を受けるまでの医療費に関しては、申請書の控え等を持参して、各医療機関等にご相談ください。
 
認定を受けた場合、受給者証の効力が生じるのは申請した時です。有効期限は申請受付日から1年間です。引き続き精神通院医療を受けるには更新手続きが必要です。
 
軽減を受けるためには、自立支援医療受給者証に記載された医療機関や薬局にこの受領証と自己負担上限額管理表を提示する必要があります。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

新美 昌也

Text:新美 昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。
http://fp-trc.com/

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