公開日: 2020.07.27 家計

副業で複数の事業所で働いている場合の労災保険の拡充が予定されています。どう変わるの?

執筆者 : 當舎緑

先日、新型コロナで変わった生活習慣についての調査が公開されました。それによると、テレワークを実施した方のうち、今後もテレワークを実施したいという数字が半分以上。
 
満員電車での通勤時間がなくなったことで、働き方や地方への移住に関心が高まった、という結果に注目が集まりました。
 
一方、直接やり取りしていないということで、コミュニケーションの仕方や書類の電子化、ペーパーレス化などへの課題も浮き彫りになりました。これまでの自分の働き方に疑問を持った方も多いのではないでしょうか。今回、空いた時間で宅配業への進出をした方もいるでしょう。
 
そんな中、複数事業所で働く方の労災保険の拡充が予定されています。内容を見ておきましょう。
 
當舎緑

執筆者:

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

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當舎緑

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執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

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労働者って何?

自粛期間中、テイクアウトの配達員として働き、いつもの働き方と異なる働き方にチャレンジした人も多いでしょう。こんな場合、働く側からすると「自粛で通常どおり働けなかったので副業をしただけ、何が問題なんだ」という気持ちはあるでしょう。ただ、いくつか問題はあります。
 
普通、労働者として働く場合には、労働者として、雇用契約を会社と締結します。一方、配達員で問題となったのは、個人事業主として、会社と委任契約を締結しているという点です。労働者として働く場合、会社に守ってもらえるということが一番大きい点です。
 
例えば、会社の行き帰りや、業務中に車や人と接触事故を起こしてしまった場合など、けがをした治療費は全額労災で負担、もし休業した時には休業補償をしてもらえるという大きなメリットがあります。
 
また、もし失業した場合などは、一定の要件を満たす必要はありますが、雇用保険から基本手当という給付がされることもあります。

個人事業主は自己責任

最近「ギグワーカー」という言葉を聞いた方もいるでしょう。ネットで直接仕事の依頼を受けて働く人のことを言います。この場合も、単に副業で収入アップ、と喜んでいる場合ではありません。
 
収入がある場合には義務も伴います。依頼してきた相手が不払いの場合、もしくは報酬を値切ってきた場合には、自分で交渉するなどしなければなりませんし、もし仕事が気に入ってもらえない場合には、自分で仕事の修正もしくは追加で仕事をするケースもあるでしょう。
 
「気に入らないから報酬を支払わない」と言われたケースも同様です。
 
何をするにも自己責任、会社同士の仕事であれば契約書などで条件をしっかりと確認できますが、個人同士であれば条件がはっきりしないし、口頭でということであれば、副業のほうがかえって大変になることもあります。
 
ひょっとして、けがをしてしまうこともあるでしょう。その場合、本業での労災保険は使えませんし、副業で収入が上がってしまったことで、会社から天引きされる住民税が上がってしまい、会社に黙っていた副業がバレ、会社の懲戒規定にのっとって処分されるということも考えられます。

拡充される内容とは

これまで副業される方で問題となっていたのが、複数の場所で働いていた場合、副業先で労働災害に遭っていたとして、保険給付額の対象となるのは副業先の賃金のみでした。
 
また、副業をしていたため、体に過度の負担が生じ病気になったとしても、それぞれの就業先それぞれの就業先での負荷で判断され、しかも災害が発生した事業所での賃金額に基づく保険給付額がされていました。
 
さらにそれぞれの事業主の補償責任もそれぞれの賃金を超えることはないですから、万一副業先で事故が起こった場合には、本業の収入も減り、副業先で得られる低い補償しかされないという、踏んだり蹴ったりの状態だったのです。
 
今後拡充されるのは、複数の事業場で働いていても、賃金が合算されて保険給付額を算定されるということになります。
 
ただ、手放しで喜べるわけではありません。実際複数就業先の情報をそれぞれ確認できる書類を提出するという点が、一番ハードルが高いかもしれません。
 
また、一方は労働者としても、副業先では雇用契約でなく委任契約だといわれると、労災保険の対象ではありません。このように、副業で収入アップというのは誰でも憧れますが、いいことばかりではないことに注意が必要でしょう。
 
「勝手に不注意でけがをしたのに、なんで会社がそこまでしてあげないといけないんだ」と言われたことがある方もいるでしょう。
 
もし、副業もしくはギグワーカーなど、本業以外で稼ごうという気があるなら、本業でそれが認められるのか、税金関係、補償関係、そして賠償責任など、たくさんの知識が必要とされるのは覚えておいたほうがいいようです。
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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