更新日: 2024.10.10 働き方

働き過ぎを防ぐ「36協定」って、どんな制度?

働き過ぎを防ぐ「36協定」って、どんな制度?
労働時間に関する協定である「36協定」をご存じでしょうか。労働者の長時間労働・休日労働などに上限を設けて「働き過ぎ」を防ぐための制度です。今回は「36協定」について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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「36協定」とは?


36協定は「時間外・休日労働に関する協定届」です。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働・休日勤務などを使用者(企業など)が労働者に命じる際に、労働組合などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届けることが義務付けられています。
 
この規定は「労働基準法第36条」に定められているため「36協定」と呼ばれているのです。
 
36協定の対象となる労働者は正社員だけでなく、派遣社員・契約社員・パート・アルバイトなども雇用形態にかかわらず全てが対象です。協定の届け出が必要なのは企業だけでなく、個人事業主も必要です(建設業や自動車運転業務など、現時点で適用されていない業種もあります)。
 

「36協定」を結ぶと、どのような働き方になるのか?

「36協定」を結び、労働基準監督署に届け出たら、何時間でも労働時間を延長できる・休日出勤させることが可能になるわけではありません。「1日」「1ヶ月」「1年」それぞれに延長時間を決められた限度の範囲内で設定可能になります。
 

<延長できる限度>

一般の労働者:1ヶ月45時間、1年360時間
1年単位の変形労働時間制の対象者:1ヶ月42時間、1年320時間

 
この限度設定には例外措置があり、繁忙期などで限度時間を超えた残業・休日出勤が必要な場合には「特別条項付きの36協定」で決められた範囲内の時間・回数を設定可能になります。そして「健康福祉確保措置」をとる必要があります。
 
「終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間をとる」「勤務状況・健康状態に応じて、代償休日または特別な休暇を付与すること」など10項目が、36協定の裏面(記載心得)にあります。
 

<特別条項を結んだ場合の限度>

●1ヶ月の上限は100時間未満(単月での時間外・休日労働を含む)、1ヶ月45時間を超える回数は6回以内に収めること
 
●1年の上限は720時間以内で、月45時間を超えた時間外労働は年間で6ヶ月のみ、2ヶ月~6ヶ月の時間外・休日労働の平均は月80時間以内に収めること
(残りの6ヶ月の時間合計は450時間)

 
例えば、年間労働時間の上限があとどの位までなのか調べるには、直前1ヶ月から5ヶ月の時間外・休日労働時間を調べると、残り6ヶ月の時間外・休日労働時間が計算できます。
 
「36協定を結ばずに長時間の時間外労働・休日労働などをさせた」「36協定を結んでいても上限時間を超えていた」場合には、罰則「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。
 

残業代はどうやって計算するの?

「残業代」の対象となるのは「法定時間外労働」「法定休日労働」「深夜労働」で、それぞれに割増賃金率が決められています(本稿執筆時点)。複数の条件が重なった場合はそれぞれ割増賃金率が重複して計算されます。
 

「法定時間外労働」:プラス25%
「法定休日労働」:プラス35%
「深夜労働」(午後10時~午前5時):プラス25%

 
36協定を結んでいる・変形労働時間制・フレックスタイム制などの場合でも、所定労働時間を超えた時間が「残業時間」となります。さまざまな職業・月給制・時給制などにかかわらず、法定労働時間を超えたりした場合には、その勤務時間と勤務状況などに応じた割増賃金を加算した賃金が支払われなくてはいけません。
 

まとめ

以前は「36協定」の限度時間を超えた時間外労働などが発生する可能性がありそうな場合には、36協定届に理由などを記載すれば36協定の限度時間を超えることが可能でした。
 
2019年から働き方改革に関連する法改正が行われ「36協定」を結んでいても「残業時間の上限」が設定されました。自分は働き過ぎていないか、残業代などが適切に支払われているか、こまめに給与明細をチェックすることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 時間外労働の上限規制

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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