更新日: 2022.12.20 働き方

「あなたがミスしたんだから」と残業代をもらえませんでした…これって違法ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「あなたがミスしたんだから」と残業代をもらえませんでした…これって違法ですか?
効率的に仕事をこなすには、しっかりとスケジュールを組むことはもちろん、勤務時間内に終わらせるための努力も必要です。しかし、勤務時の状況によっては残業を余儀なくされることもあるでしょう。その際、残業代の受け取りは労働者の権利です。
 
ただ、自分のミスが原因の場合、残業代がなくても仕方ないと思ってしまうかもしれません。ここでは残業代の未払いには違法性がないか、さらに未払いへの対処法について説明していきます。
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残業代の受け取りは当然の権利

残業代(残業手当)とは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合、発生する「割増賃金」のことです。こちらは「基礎時給×割増率×(総労働時間-法定労働時間)」で計算されます。ちなみに「基礎時給」は1時間当たりの賃金です。
 
また「割増率」は残業時間帯などによって変わりますが、いずれも基礎時給よりも高くなるのが特徴です。その一つ「通常残業」は基礎時給の1.25倍になるので、覚えておくとよいでしょう。
 
残業代の支払いは企業経営者の義務です。また、従業員のミスが原因だとしても残業代を支払わない理由にはなりません。「あなたがミスしたんだから」と圧力を掛けられるとひるんでしまいがちですが、遠慮しなくてもよいのです。ミスをした「後ろめたさ」から残業代を請求しにくいかもしれませんが、故意や重過失でない限り残業代は受け取れるものなのです。
 
また、受け取ることは従業員の権利だと知っておきましょう。もし、残業代をもらえないようであれば、経営者が労働基準法違反を犯していることになります。
 
なお、未払い賃金の請求期間には時効が存在します。以前「2年」だった時効は、2020年の労働基準法改正で当面「3年」に延長されたものですが、詳細についても確認しておきましょう。
 

ただしミスをしないための努力は必要

残業代がもらえるとはいえ、時間内に仕事をやり遂げる気持ちが大切です。そのためには、仕事の優先順位を決めた上で、余裕を持って取り組むことはいうまでもないでしょう。ミスを起こさない完璧な人はいないとはいえ、失敗を繰り返さないための努力は必要です。
 
仕事に集中しないで残業に持ち込む行為はいただけません。このような態度がみられた場合、定時で終わる人の反感を買う恐れが出てきます。また、ミスが多発した結果、昇進や昇給の障壁になることも理解しておく必要があります。
 

交渉が難航した場合は労働基準監督署に相談を

労働条件に不満がある場合、本来は企業と直接交渉することが理想的です。しかし、勇気を出して交渉に臨んでも、誠意ある対応をしてくれないかもしれません。このような場合は「労働基準監督署」への相談を考えましょう。
 
従業員が労働基準監督署に申告することにより、企業側は是正勧告を受けます。そして、労働基準監督署の指導に従わない場合は逮捕されることもあるので、企業側も襟を正さずにはいられなくなるのです。
 
ただし、労働基準監督署にスムーズな対応を望むためには入念な準備が必要です。残業したことを証明できる有効な証拠を集めましょう。タイムカードや業務日誌のほか、メールの送信記録、電話でのやり取りが分かる履歴などもおすすめです。
 
また、残業時間や仕事内容が分かる記録を作成しておくとよいでしょう。その一つ勤務時間や退社時間をつける際には「1分単位の正確な時間」にすることが重要です。
 

残業代の受け取りは当然の権利! そのためには事前準備が不可欠

従業員に対する残業代の支払いは企業側の義務です、また、残業に至る理由にかかわらず従業員は残業代を受け取る権利があります。もちろん、自分のミスが原因で残業する場合も遠慮しなくてもよいのです。もし、残業代の受け取りが難しい場合は「労働基準監督署」に相談する方法があります。そのためには、しっかりした事前準備が不可欠なことを知っておきましょう。
 

出典

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 事業主の皆さま、労働者の皆さま 未払賃金が請求できる期間などが延長されています

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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