更新日: 2023.08.04 働き方

持ち帰り仕事は違法? 働き方改革で顕著になる労働の「闇」とは

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

持ち帰り仕事は違法? 働き方改革で顕著になる労働の「闇」とは
仕事量が多いため、仕事を持ち帰って自宅でしている、という人もいるかもしれません。持ち帰り仕事をすることは、法律的にはどのような扱いになるのでしょうか。通常の残業との違いについてもみていきましょう。
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持ち帰り仕事とは?

働き方改革が広まったこともあり、ノー残業デーなどで、残業を禁止する企業も増えてきました。しかし、仕事量そのものは変わらないため、残業ができないぶん、自宅などに必要書類やデータを持ち帰って仕事をこなしている状況を、持ち帰り仕事、持ち帰り残業と呼びます。
 

持ち帰り仕事のデメリットとは

職場で業務を行うことで、プライベートとオフィシャルの区別を明確にできます。退社すれば仕事から完全に離れ、気持ちをリフレッシュできて、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。
 
反対に、自宅に仕事を持ち帰ることは、自分のプライベートにオフィシャルな部分を持ち込むことになり、切り替えがしにくくなります。人によっては、健康面において、影響が出る場合もあります。
 
また、持ち帰り仕事には、セキュリティー面においても注意が必要です。企業内のみで閲覧できる資料や、個人情報が入ったデータを持ち帰った際に、盗難や紛失が発生したという事件を、ニュースなどで見聞きしたことがあるでしょう。
 
個人情報や機密文書が外部に漏えいすることは、会社にとっては大きな損失となります。セキュリティー面においても、持ち帰り仕事は避けたいものです。
 

持ち帰り仕事の考え方

労働基準法では、雇用されている会社からの指揮・命令のもとに置かれている時間は、労働時間とみなされています。業務をするにあたって、会社の指揮・命令があったかどうかが、ポイントとなります。
 

残業代を請求できる持ち帰り仕事とは

雇用主である会社側から、決まった時間に退社をすること、終わらなかったぶんは、自宅に持ち帰って仕事をするようにと指示を受けた場合には、自宅であっても、労働時間にあたるとみなされ、残業代を会社に請求することが可能です。
 

残業とみなされない持ち帰り仕事

自宅に持ち帰って仕事をすれば、すべて残業代として換算されるわけではありません。例えば、会社や上司から指示をされていないのに、自己判断で仕事を持ち帰って仕事をこなしたとしても、労働時間には含まれません。
 

残業とみなされない持ち帰り仕事

持ち帰り仕事をしている人の中には、上司からは具体的な指示を受けていなくても、残業ができないために、自宅で完成させなければいけないケースや、黙認されているケースも考えられます。
 
この場合は、客観的に見て、持ち帰り仕事が指揮・命令下であるかどうかが、判断するポイントとなります。
 

持ち帰り仕事の対策方法

雇用側が持ち帰り仕事を黙認している状態は、社員の心身の健康に影響を及ぼす可能性があるほかにも、個人情報や機密漏えいなどの大きな問題につながるおそれがあります。持ち帰り仕事をなくすための対策について、紹介いたします。
 

一人ひとりの業務内容や進捗(しんちょく)状況を職場内で把握する

社員一人ひとりの職務内容や業務量、進捗状況、スケジュールなどを、勤怠管理アプリやコミュニケーションツールを利用して、所属している社員全員で共有するようにしましょう。
 
進捗状況が分かっていれば、上司や周囲がフォローしやすくなり、仕事が終わらずに、やむを得ず持ち帰り仕事をするという事態を減らせます。抱え込んでいる社員には、声かけを欠かさないなどの、コミュニケーションも大切です。
 

明確なルールを決める

書類やデータの持ち帰りを禁止・制限するなど、社内のルールをあらかじめ決めておいて、周知しておきましょう。例えば、重要なデータの漏えいを防ぐために、私物のタブレットや記憶媒体といった、デバイス類の持ち込みを制限することも必要です。
 
やむを得ず、持ち帰って仕事をする必要がある場合には、テレワークと同様に、勤怠管理アプリなどを利用して、残業として扱います。
 

持ち帰り仕事にはルールを決めよう

終わらなかった仕事を、自宅で行う持ち帰り仕事は、場合によっては、残業代が発生します。また、プライベートと仕事の区別がつけづらくなり、重要な情報が漏えいするといったトラブルが起こることもあります。
 
持ち帰り仕事については、ルールを決めておくなど、社内での対策を行いましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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