更新日: 2023.09.29 働き方

昇進で課長になっても「残業代なし」って本当?「名ばかり管理職」の場合は残業代が支払われるの? 注意点を解説

昇進で課長になっても「残業代なし」って本当?「名ばかり管理職」の場合は残業代が支払われるの? 注意点を解説
管理職になることで賃金が上がることを、1つの目標にしている人も多いと思います。しかし、管理職になったからといって必ずしも収入が増えるとは限りません。管理職になると残業代が支払われなくなるからです。残業代がないことは労働基準法違反のようにも思えますが、なぜ違反ではないのか気になるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、管理職になると残業代が支払われないのは違法ではないのかについて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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管理職は法律上、残業代が発生しない

管理職は労働基準法上、原則として残業代が発生しません。法律上は労働時間の制限がないため、法定労働時間を超えると支払われる残業代が支払われないのです。管理職になると基本的に賃金は上がりますが、残業代がないことで収入が減ってしまう場合もあります。
 
しかし、管理職であったとしても法律上の「管理監督者」に該当しない場合は残業代が支払われます。
 

そもそも管理職とは?

法律上の管理監督者は、肩書だけで判断されるものではありません。
 

●職務内容や権限、待遇などから経営者と一体的な立場とみられること
●勤務態様や労働時間について裁量権があること
●一般社員と比べて地位や権限にふさわしい待遇をされていること

 
これら3つの基準だけでなく、企業によって職制が異なるためケースバイケースで法律上の管理監督者であるかを判断しています。つまり、肩書だけ管理職になったからといって、必ず残業代が支払われなくなるわけではないということです。
 
例えば、肩書が店長だったとしてもスタッフの労働条件や採用については経営者に裁量権があり、他の社員と同様の仕事内容だった場合は管理監督者ではない、という裁判例もあります。
 
まずは管理職になる際に、肩書だけの「名ばかり管理職」でないかを確認することが大切です。管理監督者になる場合はこれまでの賃金や残業代と今後の賃金とを比較しておきましょう。
 

管理職でも残業代が支払われる場合も

法律上の管理監督者である場合でも残業代が支払われる場合もあります。具体的には深夜に労働をする場合です。管理監督者であっても22時から翌日の5時までの深夜労働については割増賃金が発生します。
 
また、労働時間に制限がないからといって年次有給休暇を取得させないことも禁止です。一般社員と同様に取得させることが必要になっています。管理監督者になったとしても過度な長時間労働を強いられることは、健康状態にも関わるので注意が必要です。
 

法律上の管理監督者であるかを確認しておきましょう

本記事では、管理職になると残業代が支払われないのは違法ではないのかについて解説してきました。管理職になるからといって必ず残業代が支払われないというわけではありません。
 
残業代が支払われない管理監督者であるか否かは権限や裁量権、待遇などを総合的に判断して決まります。いわゆる名ばかり管理職の場合はこれまで通り残業代が支払われるので確認しておきましょう。
 
また、管理監督者であっても深夜労働をする場合は割増賃金が発生します。22時から翌日の5時までの労働をする際は、割増賃金が支払われるかを確認してください。管理監督者になる場合は賃金や待遇面だけでなく、働き方についても考えるようにすることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 しっかりマスター 労働基準法 管理監督者編

厚生労働省 労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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