介護士ですが、「夜勤」や「残業」をしても手取り17万円です。別業界への転職を検討すべきでしょうか…?
配信日: 2023.10.06 更新日: 2024.10.10
今回は、介護職の給与は、そのほかの業種と比較して低いのかを調査して、手取りを増やすためにできることについても調査しました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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介護士の給与は他業界よりも安い?
「介護士」とは、介護に従事する人全般を指します。国税庁による「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、介護士が含まれる業種「医療、福祉」の平均給与額は、406万8000円とのこと。
一方、給与所得者全体の平均給与額は443万3000円で「医療、福祉」の給与額との差は36万5000円となっており、介護士の給与は平均よりも低いことが分かります。
また「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職全体(常勤)の平均月収は31万6610円でした。
社会保険料や税金などが引かれた手取り額は、一般的に総支給額の75~85%とされています。この割合で計算すると、介護士の平均の手取り額は、月収で23万7000~26万9000円、年収では、284万9000~322万9000円ほどとなります(全国の平均金額であり、地域差や勤務先による違いがあります)。
介護士の給与が低すぎるといわれるのはなぜ?
介護士の給与が低すぎるといわれる理由は、国は介護従事者を確保するために、介護職の待遇改善に取り組んでいるものの、常に人手不足であり、身体的に負担が大きい仕事であるにもかかわらず、平均よりも給与が低いという点にあります。
介護業界は、国が定める「介護保険制度」のもと、介護報酬を受け取って施設を運営しています。介護報酬とは、介護施設を運営する事業者が、要介護・要支援の認定を受けた利用者に、介護サービスを提供した場合に支払われる報酬のことです。
介護報酬は、厚生労働省により基準額が決められているため、事業者が自由に介護士の給料を上げられないようになっていることも、介護士の給与が低い理由の一つになっています。
手取りを増やすためにできることは?
介護士が手取り額を増やすためには、資格の取得や、職場の変更などの手段が考えられます。
資格を取得する
同じ介護職の中でも、資格の有無により、平均給与額に違いがあります。
表1
資格 | 平均給与額 |
---|---|
全体 | 31万6610円 |
介護福祉士 | 32万8720円 |
社会福祉士 | 36万3480円 |
介護支援専門員 | 36万2290円 |
保有資格なし | 27万1260円 |
※厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を基に筆者作成
保有資格なしの場合に比べて、介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員といった資格を持っている場合は、平均給与が高くなることが分かりました。
働く場所を変える
介護職の給与は施設の形態によっても異なります。
表2
施設形態 | 平均給与額 |
---|---|
介護職全体 | 31万6610円 |
介護老人福祉施設 | 34万5590円 |
介護老人保健施設 | 33万8390円 |
※厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を基に筆者作成
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や、介護老人保健施設(老健)では、全体の平均よりも、給与額が高くなる傾向があるといえるでしょう。
転職も一つの手段ですが手取りを増やす努力も必要
介護士は、給与が平均よりも低いといわれています。転職も、手取りを増やす一つの手段ですが、できるだけ同じ職場で経験を積んで資格を取得することが、一番の近道といえるでしょう。
出典
国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査(15・163ページ)
厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(144・152・182ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー