更新日: 2023.10.25 働き方

ウチの会社は「初任給が高いから昇給ナシ!」って違法では? 転職した方がいいでしょうか?

ウチの会社は「初任給が高いから昇給ナシ!」って違法では? 転職した方がいいでしょうか?
給与の仕組みは、各企業によって異なります。基本給を高めに設定してボーナスの支給をしない企業や、年俸制を採用する企業など、さまざまです。
 
なかには、初任給を高く設定して「昇給ナシ」という給与システムをしいている企業も存在します。昇給ナシだと、仕事へのモチベーションが高まらないと感じることもあるでしょう。
 
こちらの記事では、昇給ナシで勤務する際に、収入を上げる方法や対策について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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賃金を引き上げない企業も一定数存在

一般財団法人労務行政研究所は、新入社員の初任給に関するアンケート調査を行いました。
 
その結果、東証プライム上場企業157社のうち、「全学歴引き上げ」とした企業は70.7%でした。一方で、「全学歴据(す)え置き」と回答したのは26.1%となっており、多くの企業は新入社員の初任給を引き上げる動きを見せていることがわかります。
 
日本は少子高齢化が進展していることから、若い人材に入社してもらうためには、競合企業よりもよい条件を提示する必要があります。そのため、人材確保や離職率をおさえる目的で、初任給の引き上げが活発に行われていると考えられるでしょう。
 
厚生労働省の調査によると、令和4年中の賃金の改定に関する実施状況について、以下のような結果が得られています。

・1人平均賃金を引き上げたまたは引き上げる企業の割り合い:85.7%
・1人平均賃金を引き下げたまたは引き下げる企業の割り合い:0.9%
・賃金の改定を実施しない企業の割り合い:6.2%
・未定:7.3%

新入社員だけでなく、既存の社員に関しても賃上げを行う動きがみられます。物価上昇にともって賃金を上げる企業や、業績が好調で賃上げを行う企業など、状況はさまざまです。
 
データ上は初任給や基本給を引き上げる企業が多いものの、昇給を行わない企業も少数ながら存在します。
 

昇給ナシでも違法ではない

そもそも、給与のしくみは企業によってさまざまなので「昇給ナシ」というルールは、違法ではありません。正確には、就業規則に「昇給がない旨」が明記され、労働者にきちんと周知されていれば、昇給ナシは法令上は問題ありません。
 
最低賃金以上の給料を払うこと、労働基準法第24条で定められている賃金の支払い方法を遵守(じゅんしゅ)していれば、昇給ルールなどは勤務先次第となります。厚生労働省の同調査でも、定期昇給なしの企業の割り合いは一般職で18.9%、管理職で25.6%という結果が得られています。
 
就職する前は納得できる条件だったとしても、実際に就職したあとに、昇給ナシであることに対して不満を感じることもあるかもしれません。もし昇給ナシの企業に不満を感じたら、どのように対処すればいいでしょうか?
 

昇給ナシの企業でも収入を増やす方法

昇給ナシの企業に勤務している人が、収入を増やす方法として下記が挙げられます。

・各種手当などを最大限に活用する
・賃金とは別に投資で配当金や利息を得る
・副業に取り組む
・転職する

もし勤務先に基本給に上乗せされる手当の制度があれば、最大限に活用しましょう。「扶養手当」「通勤手当」だけでなく、特定の資格を取得した場合に「資格手当」が支給されることもあるでしょう。
 
また、賃金のみに頼らず、株式や債券への投資を通じて、配当金・利息を得る方法もあります。投資資金が少ないと、得られるリターンも少ないですが、着実に投資に回せる金額を増やせば、得られるリターンも少しずつ大きくなるでしょう。
 
さらに勤務先が副業を認めている場合は、副業にとり組むことも選択肢となります。スキマ時間を活用したアルバイトや、自分のスキルを活かして仕事を受注する方法など、副業の方法は多様です。
 
もし昇給ナシの職場で働くことにモチベーションを感じられないなら、転職も選択肢になります。単に「昇給アリの会社がよい」という観点だけで探すのではなく、自分のキャリアに与える影響も加味することが大切です。
 
昇給制度はあるものの、基本給のベースが低い企業や、業績不振で「結果的に昇給が行われなかった」というケースもあり得ます。転職する場合は、細かく情報収集することが欠かせません。
 

まとめ

昇給ナシの企業は違法ではありません。実際に、定期昇給のしくみがない企業も存在します。昇給ナシの企業は、元々の基本給が高かったり、各種手当が充実しているケースがあります。
 
しかし、昇給が行われないことに対して不満を感じている場合は、投資や副業などを通じて収入を増やすと良いでしょう。さらに現在の勤務先よりも魅力的な転職先が見つかれば、転職も視野に入れてみてください。
 

出典

一般財団法人労務行政研究所 2023年度 新入社員の初任給調査
厚生労働省 令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 P5.7
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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