更新日: 2024.10.10 働き方

職場の昼休みは「ひとり」派なのですが、月に1回複数人でランチに行く決まりがあります……。断ってもいいですか?

職場の昼休みは「ひとり」派なのですが、月に1回複数人でランチに行く決まりがあります……。断ってもいいですか?
昼休みをどう過ごしたいかは人それぞれです。しかし、職場によっては、部や課のルールなどによって、社内の複数人でランチへ行くことを強制されることもあるようです。ひとりで過ごしたい場合は、それを断ってもよいのでしょうか。このような疑問について、今回は法的観点から確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

休憩時間は自由に過ごす権利がある

昼休みは法律上の休憩時間に該当(がいとう)します。この休憩時間は労働から完全に解放されていなければなりません。原則として、労働者が各自、自由に使うことができる時間でもあります。極端な例では、食事をせずに寝て過ごしたり、スマホで遊んでいても問題はありません。私用のために外出しても同じです。
 
ただし、安全管理の面で問題がある場合や、コンプライアンスに抵触(ていしょく)する恐れがある場合には、その自由にも制限が加えられることもあります。
 

昼休みのランチの誘いは断ってもよい?

職場で月1回、複数人でランチに行く決まりがあるという場合、それを断ってしまってもよいのでしょうか。特に最近は物価高が続いており、ランチ代を節約したいという方も多く見うけられます。
 
株式会社リクルートが運営する ホット「ペッパーグルメ外食総研」 が行った調査によれば、「外食店内での食事」 の平均価格は1190円となっています。それに対して 「自炊、または家族等が作った食事・弁当」 の平均価格は393円です。その差額は実に797円となります。月1回とはいえ、節約志向の人からすれば高く感じられることでしょう。
 
ランチ代の観点だけでなく、先ほど解説したように昼休みの時間は自由に使うことが許されています。そのため法律上ではランチの誘いは、気がのらなければ断っても問題がないと考えられます。
 
仮に職場の規則で 「月1回、ランチの懇親会を実施する」 などと明確に決められていたとしても、それを強制することはできないため、断っても問題ありません。月に1回だろうと週に1回だろうと、その点に変わりはありません。
 
なぜなら、法律で昼休みは自由に使えると決められている以上、職場独自のルールでそれをくつがえすことができないからです。
 
しかし、それがいわゆるミーティングであり、業務の一環とされていれば、参加する必要があります。その場合、ランチに行った時間は休憩時間ではなく、労働時間として扱われ、給与が発生します。さらには別途、昼休みが取得できます。
 
例えば時給1000円で昼休み1時間 (昼休みは時給が発生しない) という条件の方が、1時間のランチミーティングに1回参加した場合、その時間は1000円の時給が発生します。さらには1時間の昼休みが別途、取得できるという具合です。
 
ただし、任意に参加した場合は、休憩時間中に自由な意思のもと、ランチに参加したとみなされます。そのため1000円の時給を受けとることはできず、別途、昼休みを取得することもできません。
 

減給処分をはじめ不利益処分をくだされた時は?

もし、業務ではないため、その分の給与も出ず、かつ、別途の昼休みがとれないランチの参加を強制され、断った場合、 「ランチの懇親会に参加しないなら昼休みもとらせない」  といわれたり、 「社内規則にもとづいて5000円の減給処分とする」 などのように実際に不利益処分をくだされた場合はどうするべきでしょうか。
 
この場合、まずは職場のコンプライアンス担当の部署に相談してみてください。それでも改善がされなければ、労働基準監督署へ相談してください。そうすることで改善される可能性があります。
 

まとめ

基本的に昼休みの時間は自由に使うことが許されているため、 「職場のルールだから」 といわれたとしてもランチの誘いを断り、ひとりで過ごしても法律上は問題ないでしょう。
 
ただし、それが業務上で必要なランチであり、労働時間として扱われる場合は参加を拒否することは難しいかもしれません。
 
もし、昼休みはひとりで過ごしたいのであれば、誘われたランチが業務上、必要なものであり、労働時間として扱われるかを確認して断るかどうかを決めるとよいでしょう。
 

出典

株式会社リクルート ホットペッパーグルメ外食総研 有職者のランチ実態調査

厚生労働省 労働基準法に関するQ&A 労働時間・休憩・休日関係

 
執筆者:柘植輝
行政書士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集