更新日: 2024.01.05 働き方

有休を申請したら「繁忙期でみんな頑張ってるのに休むなんて!」と非難されました。仕事が忙しいときに休むのは「マナー違反」なのでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

有休を申請したら「繁忙期でみんな頑張ってるのに休むなんて!」と非難されました。仕事が忙しいときに休むのは「マナー違反」なのでしょうか…?
会社員として働いていると、一定の要件を満たすと付与される年次有給休暇をいつ使うか、悩む人もいるかもしれません。通常時とは別に年末年始やゴールデンウィークなどにまとまった休日を取得するために有給休暇を活用するケースも少なくないでしょう。
 
ただし、同僚たちが多忙のため、休みにくいこともあるかもしれません。本記事では、有給休暇を使おうとしたら「年末の繁忙期でみんなが忙しいのに休むのはありえない」などと非難された場合、有休取得がマナー違反となってしまうのか解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年次有給休暇の消化時期は原則自由

年次有給休暇は一般的に「年休」や「有休」などといわれることも多く、労働基準法39条において要件や付与日数などが定められています。例えばフルタイム勤務の労働者であれば、使用者は雇用された日から起算して6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の80%以上働いた労働者に対して、まずは年10日分の有給休暇を付与しなければなりません。
 
年次有給休暇の取得日は原則労働者が指定し、使用者は指定された日に有給休暇を与える必要があります。つまり、有給休暇を使いたいタイミングは「自由に選択可能」であり、会社に申請手続きを行うことで休むことができます。取得理由も明示義務はなく「私用のため」といった内容でも問題ありません。
 
有給休暇は会社員であれば誰でも使えると思われるかもしれませんが、入社してすぐであったり欠勤や早退などが多く「全労働日の80%以上」の要件を満たしていなかったりする場合は使えないので注意しましょう。
 

繁忙期は有給休暇を使えない?

例えば、12月に入ってから有給休暇の取得を申請すると「年末は年内に終わらせなければならない業務が増えて繁忙期になるから休めない」「ただでさえ人手不足で周りも多忙なのに自分だけ休むなんてズルい」などの言われるケースもあるかもしれません。
 
職場環境によっては休みづらいことも考えられますが、繁忙期で業務量が多いからといった理由だけでは労働者からの有給休暇の取得申請を断ることはできません。
 
ただし、いつでも申請すれば必ず休めるわけではありません。なぜなら使用者側には年次有給休暇の時季変更権が認められているからです。例えば、特定の日に有給休暇の取得申請が集中し、仮にすべて認めると「全従業員の半分」が休むことになり業務に多大な支障をきたす場合は、取得時季の変更を求めることができます。
 
労働基準法39条でも「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と規定されています。そのため例えば「その日はすでに取得希望者が多いから翌週に変えてくれないか」などと求めることは違法ではありません。
 
労働者が過度に不利益を被ることを防止するため、年次有給休暇の時季変更権は基本的に事業の正常な運営が妨げられる場合に認められると考えられています。単に人員不足や繁忙期という理由だけで有給休暇の消化を拒むことはできません。
 
「事業の正常な運営が妨げられる場合」の定義に正解はありませんが、先ほど挙げたように特定の時季に希望者が殺到するケースや、代替員の確保や業務の引き継ぎなどを行っても対策が難しい場合は認められる可能性が高いでしょう。
 

まとめ

繁忙期に有給休暇を取得するのはマナー違反ではないものの、実際は「気軽に申請できない」こともあるでしょう。そのため、特にあらかじめ取得したいタイミングが決まっている場合は事前に上司に相談するのもおすすめです。
 
有給休暇は本来は相談することなく労働者が自らの意思で判断できますが、上司としても事前に伝えてもらうことで業務量の調整や同僚への引き継ぎなど、柔軟に対応できる可能性が高くなります。円滑なコミュニケーションのためにも臨機応変に対応してみましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集