更新日: 2024.10.10 働き方
全く興味がない仕事でも「正社員」になるべきか悩んでいます…。派遣社員と正社員でどのくらい給与は違いますか?
そこで今回は、「興味のない仕事であっても正社員になるべきなのか、そして給与はどれくらい変わるのか」を考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
給与だけ見れば基本は派遣社員より正社員がいい
給与面だけを見れば、基本的には正社員のほうが、派遣社員よりも恵まれている傾向にあります。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、一年を通じて勤務した正社員の平均年収は、523万3000円となっています。
それに対して、マイナビの「派遣社員の意識・就労実態調査(2023年版)」によると、派遣社員の時給は平均で1488円となっており、仮に1日8時間、月に20日働いたとして、年収に換算するとおよそ286万円となります。
単純に比較してみると、派遣社員の平均年収は正社員の55%ほどにとどまり、給与面だけを見ると、派遣社員よりも正社員のほうがいいといえます。
派遣社員は不安定な働き方である
給与面以外でも、派遣社員としての生活は安定しているとは言いがたい部分があります。その一つが雇用の安定性です。派遣社員の場合、一般的には、数ヶ月おきに契約更新を繰り返しながら働き続けることになります。さらに、同じ職場の同じ部署で働くことができるのは3年までという制限があるため、3年ごとに派遣先を転々とすることになる可能性もあります。
また派遣社員は、昇給額が少ない傾向があります。先の「派遣社員の意識・就労実態調査(2023年版)」によると、同一の派遣先における初回契約時からの昇給額は、平均わずか69円です。
そのうえ、この時給は、次の派遣先でも維持されるとは限りません。派遣社員への給与は、派遣会社と派遣先とが決めた派遣料金の範囲内で決まるため、派遣先が変わるたびに時給が上下して、生活が安定しないこともあり得ます。
迷ったなら基本的には正社員がいい
先に見たように、派遣社員としての生活は安定しているとはいえません。将来を考えて、安定して働き続けたいということであれば、全く興味がない仕事であっても、正社員になっておくことをおすすめします。その理由として、安定性のほかにも転職の難しさがあります。一般的に、派遣社員としての経歴は、転職市場においてプラスに作用しづらく、年齢を重ねていくほど、その傾向は高まります。
派遣社員として働いている方の中でも、今すぐにでも正社員になりたいと考えている方は多いようです。「派遣社員の意識・就労実態調査(2023年版)」によれば、今後正社員として働きたい人は29.8%と、派遣社員の約4人に1人以上が、正社員就業の意向を持っていることが分かります。
そのうち52.3%が、今すぐにでも正社員になりたいと考えており、その願望は年齢を重ねるごとに高くなっていきます。割合にすると、20代では43.3%が、50代では63.1%もの人が、今すぐにでも正社員になりたいと考えているようです。
興味のない仕事でも正社員になるべき?
興味のない仕事であっても、迷っているならば、正社員になるといいでしょう。
興味がなくとも、まずは正社員として経験を積んでおき、今後転職して、興味のある仕事に正社員で就くということも可能になるかもしれません。
今現在「副業が軌道に乗っており、最終的には独立を目指している」「家庭との両立を重視したい」など、派遣社員としての働き方にメリットを感じている場合は除き、迷っているならば、たとえ興味のない仕事であっても正社員になる方がいいといえます。
まとめ
派遣社員と正社員を給与で比べると、基本的には正社員のほうが、派遣社員よりも圧倒的にいいと考えられます。
また、「すぐにでも正社員になりたい」と考える派遣社員の割合は、年齢を重ねるごとに増加しているため、今は気にならなくとも、将来的には収入面も含めて、派遣社員を続けたことを後悔する可能性もあります。
派遣社員から正社員になることのハードルを考えると、今悩んでいるようであれば、たとえ興味のない仕事であっても、一度は正社員として働いておくことをおすすめします。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告- Ⅱ 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与 (第8表)平均給与 (14ページ)
株式会社マイナビ マイナビ キャリアリサーチLab 派遣社員の意識・就労実態調査(2023年版)【図3】今後の就業意向(単一回答)、【図4】正社員になりたい時期と難易度意識(単一回答)
執筆者:柘植輝
行政書士