転職が決まりましたが、「次の人が決まるまで」と言われ退職できません。転職先に迷惑をかけたくないので、すぐに退職して大丈夫でしょうか…?
配信日: 2024.01.16 更新日: 2024.10.10
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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雇用契約の種類で異なる退職の自由
そもそも労働者が自由に会社を辞めることができるのかどうかについては、雇用契約の種類によって異なります。まず、雇用契約に期間の定めがある場合には、原則として、期間が終了するまでは退職することができません。
例外的に、病気などで働けなくなった場合など、やむを得ない事情がある場合には退職することが可能です。また、契約期間の初日から1年を経過した日以後については、いつでも退職することができます(労働基準法第137条)。
これに対して、一般的な正社員が該当する期間の定めのない雇用契約では、退職をする時期に制限はありません。この場合は、退職希望日の2週間前までに退職の意思を告知すれば、いつでも退職できることが定められています(民法第627条1項)。この場合、退職の理由はなんでも構いません。
例えば、仕事が合わないと感じたことを理由にしたり、職場の人間関係に悩んでいることを理由にしたりしても良いのです。もちろん転職が理由でもまったく問題ありません。
ただし、会社によっては就業規則で1ヶ月前の退職告知を義務付けている場合があります。この場合、もし裁判になっても民法の規定が優先される可能性が高いのですが、会社の業務内容によっては就業規則のルールが認められる可能性もゼロではありません。そのため、就業規則に従っておいたほうが無難です。
もっとも、会社側があまりに長い期間、例えば3ヶ月の告知期間を設けているような場合には、このルールを裁判所が認める可能性は極めて低いと考えられます。したがって、長くても1ヶ月前に告知すれば十分でしょう。
労働者には会社の都合を優先する義務はない
会社側が「次の人が決まるまで退職は認めない」「こちらが納得する引き継ぎが完了するまでは退職させない」と言ってくることもあるかもしれません。しかし、これらはあくまでも会社側の都合であり、労働者がこれらの事情に配慮する義務はありません。労働者には退職する自由があるため、きちんと退職告知をすれば退職することができます。
退職希望日の2週間前(就業規則に1ヶ月前と定められている場合は1ヶ月前)までに、退職の意思を会社に伝えれば、退職することは可能です。
ただし、例えば退職届を受け取らないなど会社が強硬な姿勢を示しているような場合には、退職告知をした証拠を残しておいたほうが良いでしょう。具体的には、退職の通知を内容証明郵便で郵送し、その控えを保管しておくことです。これによって、退職告知をした時期とその通知内容を証明することが可能になります。
退職の自由を堂々と行使して会社を辞めよう
労働者には退職の自由があります。その自由を会社側の都合で一方的に制限することはできません。後任を見つけられるかどうかはあくまでも会社の都合であり、労働者が配慮する必要のない事情です。会社が理不尽な対応をしてくる場合には、きちんと証拠を残して退職通知を出しましょう。それでも、会社が退職を妨害してくるような場合には、1人で悩まずに労働基準監督署に相談するのもひとつの方法です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー