更新日: 2024.01.22 働き方

【賃金デジタル払い】制度解禁後の「実情」や「課題」とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【賃金デジタル払い】制度解禁後の「実情」や「課題」とは?
2023年4月から、賃金デジタル払いの制度が解禁となり、開始に向けた準備が進められています。
 
しかし、現段階では普及しているとはいい難く、いくつかの問題が課題として残されています。そこで今回は、賃金デジタル払いの内容や課題について解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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賃金デジタル化とは?

まずは、賃金デジタル化について確認してみましょう。賃金デジタル化とは、給与を電子マネーといったデジタル上のお金で支払う制度のことです。労働基準法では、これまで賃金の支払い方法は、現金が基本でした。
 
しかし現代では、キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化によって、給与受け取りもデジタル払いを求めるニーズが広まっているようです。
 
賃金デジタル化では、労働者と使用者(会社側)の双方が同意した場合に、指定された資金移動業者の口座へ賃金の支払いが認められます。賃金デジタル化が可能になるまでのスケジュールは、以下の通りです。


・資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査
・大臣指定後、各事業場で労使協定を締結
・労使協定締結後に個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始

2023年の4月より当制度が開始されましたが、審査や労使協定の締結、必要な手続きなどに時間がかかっているようです。
 

賃金デジタル化の課題

賃金デジタル化の制度は解禁されているものの、現時点では、各資金移動業者によるサービス開催に関する情報は発表されていないといいます。その背景としては、いくつかの課題が解決していないことが考えられます。
 
三菱総研DCS株式会社の「給与デジタルマネー払いに関する独自アンケート調査」では、賃金デジタル化の導入を早期に検討・開始する考えを持っている企業は、12.8%とのことです。
 
一方で、「いまのところ検討するつもりはないが、他社や社員の声などの状況によっては、検討するかもしれない」という声が57.4%で、最も多く聞かれました。さらに、賃金デジタル化におけるデメリットでは、以下の声が聞かれています。


・1位:制度や賃金移動業者のサービスを理解しなければならない(65.1%)
・2位:賃金支払いの事務が増える(60.6%)
・3位:社員からの問い合わせが増える(50.6%)
・4位:賃金移動業者が破綻するリスク(48.4%)
・5位:賃金移動業者への手数料(43.3%)

上記のように、会社側にとっては、制度の理解が必要なことや手続きが増えることなどが原因で、導入に消極的な印象が見て取れます。
 

賃金デジタル化の導入にはまだまだ課題がある

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化により、現金を持たない人が増えています。賃金を最初からキャッシュレスで受け取れれば、銀行へ行って現金をキャッシュレスへ移行する作業や手間が必要ありません。
 
生活が便利になる一方で、賃金デジタル化の実施には、労働者のみならず会社や賃金移動業者の準備や手続きに時間がかかっていることも事実です。賃金デジタル化が普及するには、さまざまな課題をクリアする必要があるといえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 労働者・雇用主のみなさまへ 賃金のデジタル払いが可能になります!
三菱総研DCS株式会社 12.8%の企業が「給与デジタルマネー払い」早期検討開始の意向~人事給与担当に独自アンケートを実施~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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