更新日: 2024.10.10 働き方

月給「20万円」の会社員です。先月「60時間」残業したのに割増の残業代が1万円のみでした。この金額は不適切でしょうか?

月給「20万円」の会社員です。先月「60時間」残業したのに割増の残業代が1万円のみでした。この金額は不適切でしょうか?
残業代を正しく計算するには、残業時間の数え方や時間外労働・深夜労働などの割増率を適切に理解する必要があります。
 
もし、残業代の計算方法を理解していなければ、残業したにもかかわらず適正な残業代が支払われなかった場合にも気付けない可能性があるでしょう。
 
そこでこの記事では、残業の定義を解説したうえで、月給20万円、残業60時間で残業代1万円だった場合を想定し、割増率や残業代の計算方法をご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

そもそも残業とは?

残業とは、法定労働時間を超えて行われた労働のことを指します。法定労働時間に関しては、労働基準法第三十二条で「労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」「労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」と定義されています。
 
なお、会社で「所定労働時間」が定められている場合がありますが、これは企業が定めるもので、法定労働時間とは異なります。
 
仮に、所定労働時間が9時〜17時の会社で、従業員が20時まで働いた場合、18時までは「法定内残業」となり、企業は残業代を支払う必要がありません。ただし、18時〜20時までは法定労働時間を超えているため、企業は残業代として割増賃金を支払う必要があります。
 
また、1日8時間以内をクリアしていたとしても、休日出勤などで週40時間を超えていた場合、法律上の残業となり、割増賃金の対象となります。
 

残業による割増率を確認

残業が発生すると割増賃金が支払われることになりますが、残業の種類によって割増率が異なります。残業の種類とその割増率は表1の通りです。
 
表1

種類 支払う条件 割増率
時間外(時間外手当・残業手当) 時間外(時間外手当・残業手当) 25%以上
時間外労働が限度時間(1か月45時間、1年360時間等)を超えたとき 25%以上(※1)
時間外労働が1か月60時間を超えたとき(※2) 50%以上(※2)
休日(休日手当) 法定休日(週1日)に勤務させたとき 35%以上
深夜(深夜手当) 22時から5時までの間に勤務させたとき 25%以上

(※1)25%を超える率とするよう努めることが必要です。
(※2)中小企業については、令和5年3月31日までの間は適用が猶予されています。
 
仮に、時給換算した給与が3000円の従業員が3時間残業した場合、3000円×3時間×1.25で1万1250円が残業代として支払われます。残業による割増率は一定ではなく、時間帯や休日か否かによって変わることを覚えておきましょう。
 

残業代の計算方法

残業代の計算方法は「1時間あたりの基礎賃金×割増率×残業時間」です。そのため、まずは1時間あたりの基礎賃金を計算する必要があります。月給制の場合の1時間あたりの基礎賃金の計算方法は以下の通りです。
 
・月給÷1年間における1ヶ月平均所定労働時間数
 
例えば、月給20万円、年間休日125日、1日8時間労働の方の場合、1時間あたりの基礎賃金は以下のようになります。
 

・(365日-125日)×8時間÷12ヶ月=160時間(1年間における1ヶ月平均所定労働時間数)
・20万円÷160時間=1250円(1時間あたりの基礎賃金)

 
仮にこの従業員が60時間残業した場合、最低でも残業代は1250円×60時間×1.25で9万3750円となるため、1万円では少ないといえるでしょう。
 
ちなみに、1時間あたりの基礎賃金の計算に使用する月給には、家族手当や通勤手当などの各種手当は加えないこととなっています。
 

割増賃金が支払われているかをご自身で計算してみましょう

残業代は、残業する時間帯や休日か否か、月給、年間休日によって大きく異なります。そのため、残業代が適正かどうかは、ご自身の状況に合った数値で計算してみなければ分かりません。残業代の計算方法を確認し、一度ご自身の状況の場合はいくらになるのかを計算してみることをおすすめします。
 

出典

e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第三十二条 第三十七条
厚生労働省 確かめよう労働条件 Q&A
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集