GWを長期休暇にするため「有休」を申請しましたが、「仕事が滞るから」と却下されました。結局働いたのですが、有休って好きなときに取得できないんですか?
配信日: 2024.05.09 更新日: 2024.10.10
本記事では従業員の有給休暇における権利と、その取得時季について解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
有給休暇はいつ取得してもいい
まず有給休暇とは、労働基準法に定められた労働者の権利です。労働基準法第39条において有給休暇の要件や付与日数などが定められており、雇用された日から起算して継続して6ヶ月間勤務し、全労働日の8割以上出勤という要件を満たしていれば、有給休暇が付与されます。
その後、雇用形態や勤務日数、労働時間に応じて有給休暇の日数が増えていき、最大年間20日の有給休暇が付与されるという仕組みです。
この有給休暇は原則、労働者が自由に取得日を指定して良いとされています。労働基準法第39条5項にも「使用者は労働者の請求する時季に有給休暇を与えなければならない」と示されており、会社側から理由もなく有給休暇の取得に関して労働者に指示をしたり、申請を拒否したりすることはできません。
有休申請が重なると拒否されるケースも
基本的に労働者の意思が尊重される有給休暇ですが、会社側から有給休暇の日にちの変更を言い渡されるケースがあります。これは会社側に年次有給休暇の「時季変更権」が認められているためです。時季変更権については、労働基準法39条に「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と定められています。
では、今回のケースのように「ゴールデンウィークの中日」に有給休暇を申請した場合について考えてみましょう。連休の間の平日は有給休暇の取得申請が集中しやすく、もしも申請した全員の有給休暇を認めると、多くの従業員が同日に休むことになり業務に多大な支障をきたすことが考えられます。
また接客業などは、ゴールデンウィークのような長期休暇は来店客が多くなることが予想されるため、むしろ普段よりも多くの人数で対応する必要があるかもしれません。このように会社側が「有給休暇の取得により業務に支障をきたす」と判断した場合は、希望しても有給休暇の申請が通らないこともあるのです。
逆に取引先がゴールデンウィーク中で休業となっている場合、閑散期となることもあり、それに合わせて会社から有給休暇の取得を勧められることもあります。ただし、有給休暇の取得はあくまでも労働者の希望に合わせることが原則のため、取得を強制することはできません。
GWの有給休暇の取得は周りと相談を
ゴールデンウィークを長期休暇にして家族とゆっくり過ごしたい、まとまった連休で海外旅行に行きたい、などと考える人もいるでしょう。しかし、会社によっては同日に有休申請が重なった場合、有給休暇を取得できないこともあります。
長期休暇を取得したいのはみんな同じですので、「自分だけ良ければいい」のでなく、会社の運営や業務に支障をきたす場合は、会社の意向を汲むことも大切です。もちろんゴールデンウィークに冠婚葬祭が重なるといったやむを得ない理由で有給休暇を取得したい場合は、早めに会社側に相談するようにしましょう。
出典
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級