更新日: 2024.10.10 働き方
専業主婦です。パートで働きたいのですが、夫に反対されています。どうやって説得したらよいでしょうか。
今回は、妻が働くと増える収入等について、チェックしていきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
今は共働き世帯が多数派
現在、日本では、専業主婦世帯よりも、共働き世帯の方が多数派です。
厚生労働省の資料によると、2022年の専業主婦世帯(男性雇用者と無業の妻からなる世帯)は539万世帯、共働き世帯は1262万世帯となっています。専業主婦世帯は共働き世帯の半分以下で、調査が掲載されている1980年から今に至るまでで、過去最少となっています。一方、共働き世帯は右肩上がりで増えています。
夫に外で仕事をすることを反対されている場合、夫にこの現状を説明して、現在は妻も外で働くことが一般的であることを紹介してみましょう。
パートで増える収入を計算
妻がパートで働きはじめると、家庭の収入が増えます。そのお金を上手に使えば、生活が豊かになったり、老後資金をためられたりと、大きなメリットがあります。
例えば、妻が時給1500円の仕事に就き、毎日4時間ずつ週5日で働いたとしましょう。毎月20日働くと、家庭の収入が12万円も増えます。年間では144万円、10年続ければ1440万円という大金になります。このお金は家庭の生活費になるだけではなく、積立投資を行えば、さらに大きく増やせる可能性があります。
また、妻が時給1500円の仕事に就き、毎日4時間ずつ週2日、月に8日間だけ働いたとしても、家庭の収入は4万8000円増えます。年換算すると57万6000円ですが、これは積立投資などの資金にするには足りなくても、家族旅行に行ったり、ちょっと良い家電に買い替えたりと、生活を豊かにするお金に活用できます。
妻が働く日数から、どれほど収入が上がるか具体的な金額を計算して、夫とマネープランを相談してみましょう。
覚えておきたい「●●万円の壁」
パートタイムなどで働く場合、「106万円の壁」や「130万円の壁」と呼ばれている、年収の壁に注意するようにしましょう。妻の稼いだ額が「壁」を超えて、妻が保険料を負担しなければならなくなると、手取り金額が減ってしまうケースがあります。
例えば「130万円の壁」は、自分で社会保険に入らなければいけない金額です。年収がこの額を超えた場合、妻はパート先で社会保険に加入するか、国民健康保険と国民年金の第一号被保険者になる必要があります。
そして政府広報オンラインによると、年収130万円を超えた場合、一般的なケースでは、社会保険料について年額約27万円の負担が生じることになります。つまり、手取りは約103万円(130万円-約27万円)となってしまいます。130万円を超えて働く場合は、約160万円以上稼がなければ、逆に手取りが減ってしまう計算です。
ただし、今後は手取り金額が減らないように、「年収の壁・支援強化パッケージ」と呼ばれる政策が行われる予定です。これは、年収が増えても、手取りの金額が減らないように、労働者に手当金が支払われるなどの措置を行うものです。政策の動向や、自分の年収についてチェックし、「年収の壁」で損をすることがないように注意しましょう。
まとめ
結婚や出産などをきっかけに、一時期仕事を辞めていても、また再就職する女性は増えてきています。また、妻が働くと、家庭が経済的に豊かになり、より充実した日々を送れる可能性が高くなります。
「男は仕事、女は家事」という考えにとらわれず、夫は妻の仕事を応援し、家事や子育てなども積極的に夫が担う姿勢が必要です。今回紹介した内容を参考にしながら、今後の収入プランや、老後のマネープランについて話し合ってみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会- 「共働き等世帯数の年次推移」
政府広報オンライン 「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者