更新日: 2024.10.10 働き方
休憩はとらなくてもいいので「1時間早く」退勤したいです。ダメでしょうか?
本記事では「休憩を取らずに1時間早く退勤することは、認められるのか」について説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
法律で決められた休憩時間は取らなくてはいけない
労働基準法第34条によると使用者(事業主側)は、労働者に対して「労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分」「8時間を超える場合は、少なくとも1時間」の休憩を「労働時間の途中に」取らせることが義務付けられています。
以上の休憩時間は、6時間を超えて働くのであれば、必ず取らなくてはいけません。そのため、勤務時間が8時間を超えているにもかかわらず、休憩を取らずに1時間早く退勤した場合、使用者が労働基準法違反となるおそれがあります。
労働基準法に違反すると罰則がある
労働基準法第119条には、労働基準法第34条に違反した場合、使用者に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されることが明記されています。使用者とは、事業主だけでなく、課長や部長といった管理者も該当する可能性があります。
つまり「休憩時間を取らずに働いたことで労働基準法違反とみなされた場合は、企業や管理者に対して上記の懲役や罰金が科されるおそれがある」というわけです。そのため、企業や管理者からは、休憩時間を取らずに働くことを認めてもらえない可能性が高いでしょう。
休憩時間は基本的に賃金が発生しない
休憩時間は、一定時間以上労働する場合、法律で必ず取らなくてはいけないと定められている時間です。しかし、休憩時間は基本的に賃金が発生しません。なぜなら、労働基準法第11条で、賃金は「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされているからです。
労働基準法第34条において休憩時間は、労働者に「自由に利用」させるものとされているため、使用者は労働者に休憩時間に労働することを指示できません。つまり、休憩時間は労働が発生しないため、労働に対する賃金も発生しないものとされます。
逆に、休憩時間にもかかわらず使用者から指示されるなどして労働した場合は、休憩時間とはみなされません。そのため、休憩時間に発生した労働分の賃金は、使用者へ請求できるでしょう。
勤務時間より早く帰った場合「早退」扱いとなる可能性がある
「休憩時間は賃金が発生しないのなら、休憩は取らずに早く退勤したい」と思われる方もいるでしょう。しかし、既定の勤務時間より1時間早く帰った場合は「早退」扱いとなり、契約形態によっては早退した1時間分の賃金が発生しない可能性があります。
なぜなら前述したとおり、労働者が決められた休憩時間を取らなかった場合、使用者が労働基準法違反とみなされるおそれがあるからです。労働者から申し出ている場合でも、休憩を取らせていない使用者が責任を問われるケースは考えられます。
そのため、使用者側はリスクを避けられるよう、休憩時間を確保したうえで「早退」として扱うケースが多いでしょう。結果「休憩時間を取らずに1時間早く退勤」を申し出た場合でも、使用者側からは「休憩時間を取ったうえで、1時間早く早退」を提案される可能性が高いといえます。
「休憩を取らずに1時間早く退勤」は原則認められない
休憩時間は、労働基準法で定められた、一定時間以上労働する労働者が必ず取らなくてはいけないものです。そのため、休憩を取らないことは労働基準法違反となるおそれがあります。
労働基準法違反をした場合は使用者が懲役や罰金を科される可能性があるため、規定通りの休憩時間は取るべきでしょう。また、1時間早い退勤を申し出た場合でも、6時間以上勤務する場合は休憩時間を取らなくてはいけません。
そのため、早く帰る分は「早退」扱いとなり、早く帰る分の賃金が発生しない可能性もあります。「休憩を取らずに1時間早く退勤」は、原則認められないと考えておくべきでしょう。
出典
e-Govポータル 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第一章 総則 第十一条、第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 第三十四条(休憩)、第十三章 罰則 第百十九条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー