更新日: 2024.10.10 働き方
初任給を受け取りましたが、思っていたよりも手取り額が少なくて驚きました。給与明細の見方を知って、給与や税金の計算に誤りがないか確認したいです。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
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「額面」と「手取り」の違いとは
入社して初めての給料日に銀行振り込みされた手取り金額と、就職前に提示されていた初任給の金額と違うのはなぜ? と疑問に思う人は多いです。その答えは給与明細に明記されています。
給与明細は、【支給項目】【控除項目】【勤怠項目】の3項目で構成されています。それぞれの項目を詳しく見ていきます。
【支給項目】には「基本給」と「各種手当」が記載されています。この合計が総支給額(額面)です。基本給は名前のとおり給与の基本で、ボーナスの査定や退職金計算時のベースになります。
各種手当には役職手当・資格手当・家族手当・通勤手当などがありますが、会社によって制度が違いますので、どのようになっているのか一度確認しておくと良いです。また時間外手当(残業手当)については、後述する【勤怠項目】に記載されている時間外勤務時間と照合して確認できます。
(図表1)
3つの控除項目を知る
【控除項目】は図表2のように3つに分類されます。
(図表2)
<社会保険料>
1. 健康保険料
会社の健康保険組合などに加入し支払う保険料です。加入することにより健康保険証が交付されます。本人や家族が医療機関を受診した時に、一定の負担割合で済ますことができます。
2. 厚生年金保険料
将来支給される老齢年金、病気やけがで生活や仕事などが制限される場合に支給される障害年金を受給するために支払う保険料です。
3. 雇用保険料
退職した時に次の仕事が見つかるまでの間に支給される失業手当の受給、在職中を含めて教育訓練を受けた時に受給できる給付金などの受給、育児や介護による休業時に支給される給付金受給のための保険料です。
*1~3のほか、40歳以上になると介護保険料の支払いも必要になります。
<税金>
1. 所得税
総支給額から社会保険料の合計額を控除した金額をもとに計算されます。なお、通勤手当は一定金額まで非課税です。
2. 住民税
前年の所得に基づき計算されます。前年に所得のない新入社員は2年目から天引きされます。退職した人は、その年に収入がなくても前年分で計算された住民税の納付書が届きますので注意が必要です。
<その他>
組合費、社内預金、財形貯蓄、社内天引きで加入している生命保険などが該当します。
社会保険で守られていることは多い
【勤怠項目】は該当月の勤務状況に関する記録です。出勤日数や取得した有給休暇日数、時間外労働時間などが記載されています。時間外手当などのベースになりますので、照合すると分かりやすいです。
(図表3)
「思っていたよりもお給料の振込額が少なくてガッカリした」ことから、給与明細の見方をひも解きました。こうして見てみると、少ない理由は社会保険料の金額にあるように思えます。
ですが内容は、どの保険料も将来や“もしも”の時に備えるものです。また「厚生年金は本人と会社が保険料を折半」など、本人の負担は抑えられています。実は恩恵を受けていることも知って、給与明細を見直してください。
夏になれば待望の初ボーナスがやってきます。「ボーナスはお給料の〇ヶ月分」この場合のお給料は基本給が基準です。今回のようにこの金額に疑問を感じたら、明細を見て疑問を解消してください。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士