更新日: 2024.10.10 その他家計
生活が苦しいのは給付や支援を受けられる「生活保護・非課税世帯」だけではない! 生活苦に悩む「低所得世帯」をサポートする制度とは?
本稿では、生活が苦しいと感じている人はどのくらいいるのか、本当に困った際に頼れる場所、支援策などはないのか、見ていきましょう。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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若年層は景気の動向はやや上向きとはいうものの、楽観的にはなれず
日本銀行が実施している「生活意識に関するアンケート」というものがあります。これは全国の満20歳以上を対象に1993年から実施しており、一般の消費者がどのように今の景気環境をとらえているのかを把握しています。
それによると、景況感が悪くなったととらえている人の割合は、自分や家族の収入の状況などから前回の49.6から36.1と改善しているものの、暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」と回答している割合は49.5(前回は56.2)とまだまだ厳しい状況にあるといえそうです。
次に、生活がひっ迫している人向けの公的支援制度についてみていきます。
「総合支援資金」と「臨時特例つなぎ資金貸付」
「総合支援資金」とは、低所得者世帯(市町村民税非課税程度)で失業や収入減少によって生活に困窮している人に対する支援制度です。
用途に応じて、生活再建までの間の必要な生活費用(生活支援費)、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用(住宅入居費)、または生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活で賄うことが困難な費用(就職・転職のための技能習得や債務整理のために必要な費用)(一時生活再建費)の3つがあります。
貸付利子については、連帯保証人がいれば無利子、連帯保証人いない場合は年1.5%になります。
総合支援資金制度のほかに、公的給付制度または公的貸付制度を申請している住居がない離職者のうち、給付・貸付が開始されるまでの間に活用できる「臨時特例つなぎ資金貸付」という制度もあります。
総合支援資金の貸し付けの問い合わせや手続き・申込先は、市区町村の社会福祉協議会です。申請には申込書や住民票の写しなどさまざまな必要書類がありますので、説明を受けながら漏れのないように提出し、審査結果を待ちます。貸付が決定されると、住宅の入居費の貸付金は家主や不動産業者などの口座に、それ以外は申請者本人の口座に振り込まれます。
住宅確保給付金
家計を支えている人(主たる生計維持者)が、離職や廃業後2年以内であるか、個人の責任・都合によらないで給与等を得る機会が、離職・廃業と同じ程度まで減少している場合に「住宅確保給付金」が市区町村から受けられます。
給付金額は、市区町村ごとに定める額を上限として、原則3カ月間(延長は2回まで最大9カ月間)実際の家賃額が支給されます。支給された給付金は賃貸住宅の賃貸人や不動産媒介事業者等へ、直接自治体から支払われます。
東京23区の場合の支給上限額は月額5万3700円(1人世帯)、6万9800円(3人世帯)です。
収入要件としては、直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の12分の1(基準額)と家賃(上限あり)の合計を超えていないこと、世帯の預貯金合計額が、各市町村で定めている額(基準額の6月分。ただし100万円を超えない額)を超えていないことがあります。
参考までに、東京都23区の所得割と均等割が非課税になる場合は以下のとおりです。
●生活保護法による生活扶助を受けている
●前年の合計所得金額が135万円以下、給与所得者の場合は年収204万円4000円以下(障がい者・未成年者・寡婦またはひとり親の場合)
●前年の合計所得金額が35万円×3人(本人・配偶者・扶養親族1人の場合)+31万円=136万円以下の場合
収入要件以外に、ハローワークへの求職申し込みや職業相談を月2回以上、企業等への応募を週1回以上行うなど誠実かつ熱心に求職活動を行うことという要件もあります。
手続き・相談は、各自治体の相談窓口で行っています。緊急的に資金が必要になった場合は、まず自治体の社会福祉取扱窓口で相談しましょう。
出典
日本銀行 「生活意識に関するアンケート調査」(第97回<2024年3月調査>)の結果
政府広報オンライン 生活にお困りで一時的に資金が必要な方へ「生活福祉資金貸付制度」があります。
厚生労働省 生活支援特設ホームページ 住居確保給付金
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者