更新日: 2024.10.02 その他家計
エアコンのついてない部屋に「10分」いただけで頭痛がした今年の夏。熱中症は「短時間」でも発症するものなのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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熱中症が短時間で発症する理由とは
体温が上がったときに体内の塩分のバランスが崩れてしまうことで、体温の調節機能が働かなくなるケースがあります。やがて体温上昇やめまい、頭痛、けいれんなどの症状が発生します。この状態が「熱中症」です。
汗をかくと水分や塩分が体外に出てしまうため、水分・塩分の補給が必要です。特に高温多湿で風が弱い場合、体から外気への熱放散が減少するため汗の蒸発も不十分となり、熱中症を発症しやすくなります。
総務省がまとめた「令和6年7月の熱中症による救急搬送状況」によると、救急搬送人員は4万3195人ですが、発生場所別の救急搬送人員をみると「住居」が最も多く1万7638人と全体の40.8%を占めています。
家のなかで静かにじっとしていても、部屋の気温や湿度より熱中症にかかることもあるため注意が必要です。
エアコンの電気代と治療費の比較
最小消費電力が0.105kW、最大消費電力が0.92kW、定格の消費電力が0.5kWのエアコンを例に、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している電気料金の目安単価31円/kWhをベースに冷房を使ったときの電気代の目安を算出します。
まず1時間あたりの最小電気代は3.3円、最大電気代は28.5円です。定格電気代は15.5円となります。この場合は1時間あたりの電気代目安は「15.5円」となり、エアコンを最小能力で使った場合と最大能力で使った場合で変動する電気代は3.3円~28.5円となります。
エアコンのカタログなどを見ると消費電力(期間合計(年間))が記載されています。例えば消費電力が790kWhの場合には、年間の電気代は2万4490円です。
例えば熱中症になって点滴などの措置を受けた場合、軽症であれば8000円程度の治療費で治すことができます。
しかし、大きな病院に救急車で搬送され軽症と判断された場合、「紹介状を持たずに外来受診する患者」と同等となり、選定療養費として7700円などを別途徴収される恐れがあり、1万円以上はかかってしまうかもしれません。
そして重症となり1泊2日の入院をした場合、医療機関ではかかる費用を0時起算することから、2日分の費用がかかることになります。
入院1日あたりの自己負担費用は平均2万700円であるため、2万700円×2日=4万1400円と4万円強の治療費がかかることになってしまうのです。エアコンの年間電気代よりも多くの金額がかかるため、金額的な意味でも高温多湿の部屋ではエアコンはつけたほうがよいでしょう。
エアコンがない場合の注意点
部屋にエアコンがない場合、熱中症になりやすくなるため、注意が必要です。まず、体をしっかり冷やし、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給しましょう。また、風通しのよい服を着るのもおすすめです。
そして、濡れたタオルなどを肌にあてながら扇風機にあたれば熱が放散されます。また、水を入れて凍らせておいたペットボトルの活用もおすすめです。冷たいシャワーなどを使って直接体を冷やすのもよいでしょう。
大量に汗をかいてしまったら、スポーツドリンクや経口補水液、塩タブレットなどを活用し、熱中症になるのを防ぎましょう。
熱中症を防ぐための対策
暑い日が続いて体が慣れてくると「暑熱順化」により暑さに強い体になりますが、すぐに強くなるわけではありません。夏の暑い日に向けて準備しておくことが大切です。
暑くなる前から30分程度の運動やウォーキングにより発汗する習慣を身につけることで、熱中症にかかりにくい体がつくれます。
また、不規則な生活も熱中症になる確率を高めてしまうため、食事を抜く、夜ふかしをする、深酒をするといったことはやめて、規則正しい生活を送りましょう。
家には、すだれやよしずを活用して、部屋に入る直射日光を遮ることも効果的です。また、扇風機やサーキュレーターを使って室内に熱気がこもらないようにしましょう。
熱中症は短時間でもなるため注意
熱中症は、体調や衣類、高温、運動強度など条件によっては短時間で発症することがあります。特に運動時は、計画的な休憩をとるなど注意が必要になります。
熱中症で救急搬送されてしまうと予想以上の出費になる可能性もあるため、エアコンをつけて快適な温度で過ごしましょう。
出典
厚生労働省 熱中症はどのようにして起こるのか
東京都医師会 熱中症関連
総務省 令和6年7月の熱中症による救急搬送状況
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A
厚生労働省 紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について
環境省 エアコンが使用できないときの熱中症対策
健康保険連合組合
公益財団法人 生命保険文化センター
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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