30代会社員、失業手当をもらいながら就活して、早い段階で再就職が決まりました。しかし、前の会社より給与が低いのですが、何かもらえる制度はありますか?
配信日: 2024.10.24
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
再就職手当
雇用保険(基本手当)の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して、安定した職業に就き、支給要件をすべて満たした場合に、再就職手当が支給されます。自営を開始した場合も待機期間(7日)満了後1ヶ月の期間経過後より対象になります。なお、離職した会社に再就職する場合や、待機期間中の再就職などは対象外ですので注意しましょう。
支給額は以下のとおりです。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、
「基本手当日額×所定給付日数の残日数×70%」
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、
「基本手当日額×所定給付日数の残日数×60%」
つまり、早く就職したほうがもらえる金額は大きくなります。再就職手当に係る基本手当の日額には上限があります。離職時の年齢が60歳未満の方は日額6395円、60歳以上の方は日額5170円が上限です(令和7年7月31日まで)。
たとえば、基本手当日額5000円、所定給付日数90日の方が給付制限期間中にハローワークの紹介で再就職した場合、再就職手当は31万5000円(=5000円×90日×70%)となります。
再就職手当の申請は就職した日の翌日から1ヶ月以内と短いので注意してください。さらに、転職先の給与が前の会社の給与より低い場合は、就業促進定着手当をもらえます。
就業促進定着手当
再就職手当の支給を受けた方で、再就職先に6ヶ月以上雇用され、再就職先での6ヶ月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日数の40%(令和7年4月1日以降に再就職手当の支給に係る再就職したケースでは20%)を上限として、低下した賃金の6ヶ月分もらうことが可能です。
ポイントは3つです。
1. 再就職手当の支給を受けていること
2. 再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
3. 所定の算出方法による再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
支給額の計算式は以下のとおりです。
「(離職前の賃金日額−再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額)×再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数」
ただし、次のとおり支給額には上限があります。
「上限額=基本手当日額×支給残日数×40%」
再就職手当の支給決定通知書とともに、「就業促進定着手当」の支給申請書をハローワークから郵送されますので、再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間以内に、就職日から6ヶ月間の出勤簿の写しや就職日から6ヶ月間の給与明細、または賃金台帳の写しなどの必要書類を添えて申請手続きを行ってください。
就業手当も知っておこう
基本手当を受給する資格がある方については、再就職手当の支給の対象にならない常用雇用等以外の雇用形態(パートタイマーなど)で就業した場合、基本手当の支給残日数が所定の給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり、一定要件にあてはまるケースに支給されることになります。
支給額は、「就業日×30%×基本手当日額」です。なお、就業手当は、令和7年3月31日をもって廃止されますので、留意しましょう。
出典
厚生労働省 就職促進給付について
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。