夫が倒れてしまったとき、入院費や生活費の面で頼りになる制度
配信日: 2019.02.04 更新日: 2024.10.10
考えたくもないことですが、家計を預かる妻としては、そんなときでもお金が尽きないよう、きちんと管理しておきたいところです。
いつ訪れるかわからない「もしも」に備えて、知っておきたい頼れる制度についてご紹介します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「医療費」の負担を減らせる制度
医療費でまず頼りになる制度と言えば、保険証を出せば1~3割負担で医療を受けられる「健康保険」です。みなさんが日頃利用する、身近な制度です。
健康保険で自己負担額を抑えても、まだ高額になってしまうときは「高額療養費」という制度があります。自己負担が一定の金額以上になった場合、申請すればその金額を超えた分の医療費が戻ってきます。
この「一定の金額」は年齢や年収などで決まるため、人によって違います。例えば、40歳で年収400万円、1ヶ月に100万円の医療費がかかったという場合、健康保険と高額療養費制度を使えば、自己負担は9万円以下で済みます。
さらに、年間の自己負担額が10万円を超えたときは「医療費控除」を受けられます。確定申告をすると、税金の負担が軽くなる制度です。ちなみに、この医療費には、お薬代や病院までの交通費なども含み、世帯全員分を合計して計算することができます。
足りない「生活費」を補う制度
医療費は何とかなったとしても、働けない間の収入が全くなかったら…。専業主婦やお子さんのいるご家庭ならなおさら、毎月の生活費が重くのしかかってきます。
そんなときに使えるのが「傷病手当金」です。加入している健康保険組合などに申請すると、病気やケガで働けない間も、給与の3分の2を最長1年6ヶ月にわたって受け取ることができます。
もっと長く休む必要がある、大きな病気やケガの場合には、「障害年金」も受け取れるかもしれません。身体が不自由になった場合に限らず、うつ病やガンなど比較的身近な病気でも対象になることがありますよ。
ほかにもまだある、役立つ制度
そのほかにも、仕事に関する病気やケガの場合は「労災保険」、要介護状態になってしまったときの「介護保険」、家族の介護で仕事を休んだときにお金がもらえる「介護休業給付」など、実はたくさんの制度が整えられています。
ここまで出てきたのはすべて国の制度ですが、それでも足りないと思ったら、民間の保険会社の医療保険や所得補償保険などを活用する、という手もありますね。
健康で過ごせるのがいちばん!でも…
もしものときに頼れる制度はいくつも用意されているのですが、その多くが自分で申請しないと利用することができません。つまり、せっかく制度があっても、そもそもその存在を知らないと意味がないのです。
普段、決して安くない健康保険料や年金保険料をお給料から引かれているのに、せっかく使える状況になっても「知らないから使えない」なんて、とてももったいないですよね。
何事もなく家族が健康で過ごせるのがいちばんですが、もし何かあったときでも、知識があれば動じずに済むでしょう。大きなお金がかかりそうで不安なときは、国の制度を検索したり役所の窓口などに行ったりすると、楽になる方法が見つかるかもしれません。
ただでさえ家族が倒れて心配なとき、お金の不安も重なると余計につらくなってしまいます。そうならないように、普段からしっかりお金も知識も蓄えておきたいですね。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表