友人は、ほぼ毎日「日付が変わる直前」まで残業をしているそうです。一日あたりの「残業時間」って、どのくらいが「一般的」なのでしょうか?
配信日: 2024.12.21
本記事では、日本における残業の実態と、友人のようなケースがどれほど一般的なのかを探ってみます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
労働時間の実態
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報」によると、労働者の月間労働時間は表1の通りです。
表1
総実労働時間 | 所定内労働時間 | 所定外労働時間 | |
---|---|---|---|
一般労働者 | 163.4時間 | 149.7時間 | 13.7時間 |
パートタイム労働者 | 79.2時間 | 77.0時間 | 2.2時間 |
※厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報」より筆者作成
一般労働者の月間総実労働時間は163.4時間で、そのうち149.7時間が所定内労働時間、所定外労働時間(残業)は13.7時間です。この数字は月間の平均値ですので、一日あたり約0.6時間(約36分)の残業が発生している計算になります。
パートパートタイム労働者の月間総実労働時間は79.2時間で、そのうち77.0時間が所定内労働時間、所定外労働時間(残業)は2.2時間です。一日あたりでは、約0.1時間(約6分)の残業となります。
ビジネスマンの残業実態:4人に1人が残業なし
株式会社アスマークが実施した「残業に関するアンケート調査」によると、20歳から59歳のビジネスマンのうち、約4人に1人は残業がないことが分かりました。
また、残業をしているビジネスマンの半数以上が、月間の残業時間が10時間以上45時間未満であることが明らかになっています。
残業をする理由
残業の理由について性別や年代別で見ると、30代および50代の女性の約7割が「業務が終わらない」という理由を挙げています。一方、20代男性の残業理由としては、「プラスでやっておきたい業務がある」や「残業代が欲しい」といった理由です。
役職別に見ると、部長クラス以上の役職者は「プラスでやっておきたい業務がある」が残業の主な理由となっており、他の役職に比べるとその割合が高くなっています。対して、課長クラスでは「業務が終わらない」という理由が特に多くなっています。
時間外労働と深夜勤務の割増賃金について
2023年4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が引き上げられました。これまでは、大企業に対しては50%、中小企業に対しては25%の割増賃金が適用されていましたが、2023年4月1日以降、大企業・中小企業ともに60時間超の残業に対して50%の割増賃金が支払われることになりました。
また、月60時間を超える時間外労働が深夜(22:00~5:00)の時間帯に行われる場合、深夜割増賃金率25%と時間外割増賃金率50%が加算され、合計で75%以上の割増賃金が適用されます。なお、法定休日に行われた労働時間は月60時間の計算には含まれませんが、それ以外の休日に行われた労働時間は含まれるため注意が必要です。
労働基準法では1日8時間、1週40時間を超えた労働は原則として禁止
使用者は、原則として労働者に1日8時間、1週40時間以上働かせることはできないとされています。また、6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える労働には1時間以上の休憩を取らせなければなりません。さらに、毎週1日の休み、または4週間で4回以上の休みを与える必要があります。
時間外労働や休日労働をさせる場合、使用者は「時間外労働協定(36協定)」を結ぶことが必要です。
なお、協定を結んでも時間外労働には制限があり、1ヶ月45時間、1年360時間を超える残業は基本的に違法です。ただし、特別な事情がある場合、特別条項付き36協定を結ぶことで、上限を超える残業が認められる場合があります。
一般労働者の一日あたりの残業時間は約36分
厚生労働省のデータによると、一般労働者の月間残業時間は平均13.7時間で、これを一日あたりに換算すると約36分となります。また、株式会社アスマークの調査では、ビジネスマンの半数以上が月間10~45時間程度の残業をしていることが分かりました。
なお、休日のルールや労働時間などについては、労働基準法によって定められています。時間外労働や休日労働をさせる場合、使用者は「時間外労働協定(36協定)」を結ぶことが必要です。
なお、協定を結んでも時間外労働には制限があり、1ヶ月45時間、1年360時間を超える残業は基本的に違法です。ただし、特別な事情がある場合、特別条項付き36協定を結ぶことで、上限を超える残業が認められる場合があります。
これらを踏まえたうえで、友人の働き方が違法である場合、労働基準監督署などに相談することをすすめるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報
株式会社アスマーク 残業に関するアンケート調査
厚生労働省 2024年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー